📝 この記事のポイント
- 駅前のカフェは、年末の慌ただしさに包まれていた。
- 煌びやかな飾り付けと、耳慣れたクリスマスソングが賑やかで、なんだか落ち着かない。
- 僕は隅の席で、熱いカフェラテをすすりながら、スマートフォンを弄っていた。
駅前のカフェは、年末の慌ただしさに包まれていた。煌びやかな飾り付けと、耳慣れたクリスマスソングが賑やかで、なんだか落ち着かない。僕は隅の席で、熱いカフェラテをすすりながら、スマートフォンを弄っていた。待ち合わせの時間まで、あと15分。いつものことだ。この数分の隙間時間も、僕は特に考えもなくSNSを眺めたり、どうでもいいニュースを読んだりして過ごしている。IT企業に就職して五年目。毎日、数字とアルゴリズムに追われる日々の中で、こんな風にただ時間を消費していることが、果たして自分にとって良いことなのか。ふと、そんな疑問が頭をよぎった。
この日会うのは、大学時代の友人、ユイ。卒業以来二度目の再会で、正直何を話せばいいのかも、少し迷っていた。彼女は学生時代から漫画家を目指し、ずっとその道を歩んでいる。一方の僕は、安定した生活を選んだ凡庸なサラリーマン。そんな自分が、彼女に語れることなんて何もないんじゃないか。そう思っていた。
この「待ち合わせの隙間」は、僕にとってただの空白の時間だった。でも、この日を境に、その時間は僕の中で全く違う意味を持つことになる。
最初の印象
僕にとって「待ち合わせの隙間」というのは、これまで全く意識していなかった時間だった。正確には、ただの“手持ち無沙汰”な時間。スマホを取り出して、ニュースアプリをスクロールしたり、SNSで友人の投稿に「いいね」をつけたり。そんな風に、無意識に、何の生産性もないまま消費し続けてきた時間だ。だから、特別な「印象」なんて持ち合わせていなかったし、わざわざ向き合おうとも思わなかった。
でも、この日、ユイとの待ち合わせ中にふと目にしたニュースが、僕のその無意識を揺さぶったんだ。「ebookjapanマンガ大賞2026」のノミネート作品に、ユイのペンネームを見つけた瞬間、胸の奥がざわついた。彼女が目標に向かって着実に歩んでいることを知って、ただただ驚きと同時に、言いようのない焦燥感に襲われた。その時初めて、この「待ち合わせの隙間」が、僕のこれまでの過ごし方、そしてこれからの生き方を考える、大切な時間に変わり始めたんだ。
実際に使ってみて
ユイが到着し、僕たちは近況を語り合った。彼女は漫画を描くことの苦労や喜びを、まるでドラマを見ているかのように生き生きと話してくれた。その話は僕にとって、とても刺激的だった。同時に、自分自身の仕事については、語るべきことが何もないと感じた。毎日同じことの繰り返しで、情熱を傾けていると言えるようなものがない。ユイの輝く瞳と、自分のくすんだ日常を比べて、僕は自分の無力さを痛感したんだ。
カフェを出て駅に向かう途中、ユイは自分の作品について語り始めた。現代社会の孤独、SNSの表面的な繋がり。それは、僕自身が感じていた孤独感と深く重なった。僕は初めて、ユイに自分の仕事に対する不満や将来への不安を打ち明けた。誰にも言えなかった心の奥底の感情を、ユイはただ静かに聞いてくれたんだ。そして、「大切なのは、自分の心に正直に生きることだと思う」と彼女は言った。
この「待ち合わせの隙間」が、ただの待機時間ではなく、自分と向き合い、本心を吐露する時間になった。それは、僕にとって予想外の、でもかけがえのない体験だった。
良かったところ
自分の本心に気づけた
ユイの情熱に触れ、自分の仕事への不満や、本当にやりたいことが何なのか、漠然と抱いていた疑問がはっきりと形になった。これは、一人で悶々としていても決して気づけなかったことだ。
友人との深い絆を感じた
今まで誰にも言えなかった悩みを、ユイは遮らずに聞いてくれた。彼女が僕の言葉を真摯に受け止めてくれたことで、長年会っていなかった友人との間に、また新しい、深い信頼関係が生まれたように感じた。
未来への一歩を踏み出す勇気をもらえた
ユイの言葉は、まるで僕の心の奥底に眠っていた情熱を呼び覚ますようだった。すぐに大きな変化はなくても、自分の心に正直に生きることの大切さを実感し、これからどう生きたいかを考えるきっかけになったんだ。
気になったところ
自己嫌悪に陥る瞬間があった
ユイの活躍と情熱を目の当たりにし、自分の凡庸な現状を突きつけられたとき、正直、強い自己嫌悪に陥った。なぜ自分はもっと早く、自分の本心と向き合わなかったのか、と後悔の念が押し寄せたんだ。
向き合うことに苦しさを伴う
これまで目を背けてきた自分の感情や不満と向き合うことは、決して楽なことではなかった。不安や焦燥感が入り混じり、心が揺さぶられる感覚は、時に苦しいものだったよ。
どんな人に向いてる?
この「待ち合わせの隙間の体験」は、こんな人にぴったりだと思う。
- 日々の忙しさに流され、自分の本当にやりたいことを見失いかけている人。
- 漠然とした不安や孤独感を抱えながらも、一歩踏み出せずにいる人。
- 友人との再会をきっかけに、自分を見つめ直し、新たな自分を発見したいと思っている人。
ただ時間を消費するのではなく、自分と向き合うきっかけを求めている人には、ぜひこの「隙間」を意識してみてほしい。
使い続けて○週間の今
ユイとの再会から、もう数週間が経った。あの日の「待ち合わせの隙間」で得た気づきは、僕の日常に小さな、でも確かな変化をもたらしている。以前のように、ただスマートフォンを弄って時間を潰すのではなく、電車の中や、休憩時間、ちょっとした待ち時間にも、意識的に自分と向き合うようになった。
すぐに答えが出るわけじゃない。でも、自分が何をしたいのか、どう生きていきたいのかを、少しずつ、でも真剣に考え始めている。ユイの言葉は、今も僕の心の中で響いている。「自分の心に正直に生きること」。それが、人生を豊かにする一番の方法だと、僕も信じ始めているよ。
人生の「待ち合わせの隙間」は、きっと誰にでもある。その時間をどう使うかで、未来は大きく変わるのかもしれない。
駅の改札をくぐり、ホームに向かう途中、僕は心の中でユイに感謝した。そして、この新しい「隙間時間」の使い方が、僕の人生をこれからどう変えていくのか、楽しみにしている自分がいたんだ。
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