僕が探してたのは、あの頃の『巻き戻しボタン』だった

📝 この記事のポイント

  • 都心のオフィス街を走る満員電車の中で、僕は押しつぶされそうな体勢で首だけ辛うじてスマホの画面に向かっていた。
  • SNSのタイムラインには、煌びやかなクリスマス広告と、忘年会の告知が溢れかえっている。
  • ふと、隣に立つ若い女性のイヤホンから漏れる音で、80年代の懐かしいシティポップだとわかった。

2025年12月5日、金曜日。都心のオフィス街を走る満員電車の中で、僕は押しつぶされそうな体勢で首だけ辛うじてスマホの画面に向かっていた。SNSのタイムラインには、煌びやかなクリスマス広告と、忘年会の告知が溢れかえっている。ああ、もうそんな時期か。ふと、隣に立つ若い女性のイヤホンから漏れる音で、80年代の懐かしいシティポップだとわかった。今、リバイバルブームらしい。僕もサブスクでプレイリストを作って、たまに聴いたりするけれど、あの頃の音楽は、どこか新鮮で、ノスタルジーという名の甘い麻薬を摂取している気分になるんだ。
便利になった世の中は、情報も選択肢も無限に与えてくれる。欲しいものは瞬時に手に入り、見たいものはいつでも見れる。でも、どこか無機質で、心が動かない。子供の頃、レンタルビデオ屋で映画を選ぶ時のワクワク感や、巻き戻しボタンを押すあの独特の音。あの頃の、手間暇がかかったからこそ感じられた温かさを、僕はどこかで求めているのかもしれない。そんなことを考えていたら、心が疲弊していく感覚があった。

目次

最初の印象

ある週末、目的もなく街をぶらついていた時のこと。裏通りにひっそりと佇む、小さなアンティークショップが僕の目に留まったんだ。ガラス越しの店内を覗くと、埃を被った古い家具や雑貨の片隅に、それはあった。木製のキャビネットに収まった、真鍮のトーンアームが鈍く光るレコードプレイヤー。今の洗練されたガジェットとはかけ離れた、いかにも「アナログ」然としたその姿に、僕はなぜか心を奪われた。正直、最初は「こんな手間がかかるもの、今の時代に必要かな?」と思ったんだ。でも、そのどっしりとした存在感は、スマホやPCのディスプレイにはない、確かな「モノ」としての魅力に満ちていた。まるで、デジタルに埋もれかけた僕の日常に、何かを問いかけているようだった。

実際に使ってみて

思い切って手に入れたレコードプレイヤーを、休日の午後、初めて動かしてみた。まずは、ずっと聴いてみたかった一枚のレコードを、慣れない手つきでターンテーブルに乗せる。そっとトーンアームを持ち上げ、針先をレコードの溝に合わせる。緊張しながら針を落とすと、スピーカーからは「プチッ」という小さなノイズ。そして、そこからじんわりと、温かみのある音が流れ出したんだ。ストリーミングサービスで聴き慣れた曲なのに、まるで初めて聴くような新鮮さだった。デジタル音源のクリアさとは違う、どこかざらついた、そして深みのある音。レコードのA面が終わると、今度は自分でひっくり返してB面を聴く。その一つ一つの動作が、まるで音楽を聴くための儀式のようだった。

良かったところ

  • 儀式としての音楽鑑賞

レコードを選び、埃を払い、ターンテーブルに乗せ、針を落とす。この一連の動作が、音楽を聴くという行為を特別な時間に変えてくれるんだ。漫然とBGMとして流すのではなく、その音楽と真正面から向き合う感覚。まるで、時間がゆっくりと巻き戻されていくような、心地よい集中がそこにはあった。

  • 一枚のアルバムとの対話

ストリーミングサービスだと、どうしてもプレイリストのシャッフル再生ばかりになってしまいがちだよね。でも、レコードはアルバム一枚をじっくりと聴き通すことが多い。アーティストが意図した曲順で、アルバム全体の世界観に没入できるのは、本当に贅沢な体験だ。曲間も、次にどんな音が来るんだろうって、わくわくするんだ。

  • 偶然の出会い

これはレコードショップでの話になるんだけど、棚に並んだレコードのジャケットを眺めていると、思わぬ発見があるんだ。店員さんが気まぐれに勧めてくれた、今まで全く知らなかったアーティストの作品に心を奪われたり、ジャケットの美しさに惹かれて手に取ったレコードが、僕の音楽観を広げてくれたり。デジタルのおすすめアルゴリズムにはない、予測不能な出会いがそこにはある。

気になったところ

  • 手間がかかる

これはもう、アナログの宿命だね。聴きたい曲をパッと選んで再生するデジタルとは違って、レコードを棚から出して、プレイヤーにセットして、針を落として、終わったらまた戻す。この手間を「面倒」と感じる人もいるだろう。忙しい時には、ついデジタルに手が伸びてしまうこともあるんだ。

  • 場所を取る

レコードプレイヤー本体もそれなりの大きさがあるし、レコードを収納するスペースも必要だ。今の都心の狭い部屋だと、ちょっとした悩みどころになることもある。気軽に持ち運んで、どこでも楽しめるわけじゃないから、そこはデジタルには敵わない部分だね。

どんな人に向いてる?

このレコードプレイヤーは、デジタル疲れを感じている人にこそ、強くおすすめしたい。情報過多な日常から少し距離を置いて、五感で「体験」したいと思っている人。音楽を単なる音源としてではなく、もっと深く、感情的に味わいたい人には、きっと素晴らしい相棒になってくれるはずだ。そして、僕がかつてレンタルビデオ屋で店員さんと語り合ったように、レコードショップで新しい音楽との出会いを求めている人にも、この手間をかける喜びはたまらないだろうね。

使い続けて数週間の今

レコードプレイヤーを使い始めて数週間が経った今、僕の日常は少しだけ変わった。金曜の夜、仕事から帰ってきて満員電車で疲れた体を引きずっていても、家に帰ってレコードを聴く時間が楽しみになったんだ。一枚のレコードと向き合う時間は、まるで心に「巻き戻しボタン」を押すような感覚。忙しさや情報に流されがちな日々の中で、自分と向き合い、心をリセットできる大切な時間になっている。デジタルが提供してくれる利便性とは違う、温かさと深みがそこにはある。

まとめ

便利さが追求される現代で、あえて手間暇をかけることには、きっと特別な価値があるんだと思う。それは、僕が手に入れたこのレコードプレイヤーであり、僕にとっての「巻き戻しボタン」だった。たくさんの選択肢があるからこそ、何が本当に大切なのかを見失いがちになるけれど、自分の心に素直になり、手間をかけてでも大切にしたいものを見つけること。それは、AIには決してできない、僕たち人間だけが感じられる喜びなんじゃないかな。あなたもきっと、自分だけの「巻き戻しボタン」を見つけられるはずだよ。

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