📝 この記事のポイント
- 新宿駅の喧騒は、今日も容赦なく耳をつんざく。
- オレンジ色の照明が、行き交う人々の顔色を少しだけ温かく見せている気がするけれど、実際はみんな疲れているんだろうな、と僕は思う。
- 僕は、その流れに逆らうように、柱の陰に寄りかかっていた。
2025年11月28日。金曜日の夕暮れ時。
新宿駅の喧騒は、今日も容赦なく耳をつんざく。オレンジ色の照明が、行き交う人々の顔色を少しだけ温かく見せている気がするけれど、実際はみんな疲れているんだろうな、と僕は思う。
僕は、その流れに逆らうように、柱の陰に寄りかかっていた。目的はただ一つ、待ち合わせ。18時30分に、大学時代のサークルの友人、タケシと合流する予定だ。
スマホを弄りながら、SNSのタイムラインを眺める。流れてくるのは、仕事の愚痴、旅行の写真、美味しそうな料理の数々。その中に、ふと目に留まったのは、健康管理アプリの広告だった。スマートウォッチをつけた腕が、ランニングの記録を表示している。「(ああ、最近、本当に体を動かしてないな)」僕は心の中で小さくため息をついた。別にスポーツに興味がないわけじゃない。むしろ、小学生の頃は毎日のようにボールを蹴っていたし、オリンピックの時はテレビにかじりついて応援していた。でも、大人になってからは、なんだか熱くなれない。
僕は大学を卒業後、中小企業のシステムエンジニアとして働いている。仕事は決して嫌いではないけれど、特別面白いわけでもない。毎日同じことの繰り返しで、自分の成長を感じることも少ない。「(このままでいいのかな)」
そんなことを考えていると、肩を叩かれた。
「おー、マサキ! 待った?」
タケシだ。彼は大学時代から明るくて社交的な性格で、いつも周りを笑顔にしていた。卒業後は大手広告代理店に就職し、バリバリ働いているらしい。
「いや、全然。今来たところ」
僕はそう答えたけれど、実際は15分くらい前からここにいる。
「腹減ったな。なんか食いに行くか?」
タケシがそう言うと、僕は頷いた。僕たちは、駅近くの居酒屋に入った。とりあえずビールを注文し、乾杯する。
「それで、最近どうよ?」
タケシがそう聞くと、僕は少し困った。特に話すようなこともない。
「まあ、いつも通りかな。仕事も変わらずだし」
「そっか。俺は最近、新しいプロジェクトが始まって、結構忙しいんだよね」
タケシはそう言いながら、仕事の話をし始めた。新しいクライアントのこと、プレゼンの準備のこと、チームのメンバーのこと。僕は相槌を打ちながら、彼の話を聞いていた。話を聞いているうちに、僕は少しだけ羨ましくなった。彼は自分の仕事に情熱を持っているし、常に新しいことに挑戦している。それに比べて、僕は…。
「そういえば、マサキって、昔サッカーやってたよな?」
タケシが突然そう言った。
「ああ、まあね。小学生の頃だけだけど」
「今でもやってるの?」
「いや、全然。最後にボールを蹴ったのはいつだったかな…」
僕はそう言いながら、遠い昔の記憶を辿った。小学校のグラウンドで、泥だらけになってボールを追いかけていた頃。あの頃は、ただひたすら体を動かすのが好きだった。
「そうか。もったいないな。またやればいいのに。というか、マサキもこういうのつけたらいいじゃん?」
タケシは自分の腕を指差した。そこにはスマートウォッチが光っていた。
最初の印象
タケシのスマートウォッチを見てから数日後、僕はついにあの小さなガジェットを手にしていた。まさか自分がこんなものを買うなんて、以前の僕なら考えられなかっただろう。
箱を開けて現れたのは、想像よりもずっとシンプルなデザインのそれ。余計な装飾がなく、薄くて軽い。腕につけてみても、重さや違和感はほとんど感じなかった。
「こんな小さなもので、本当に何か変わるのかな?」
期待半分、半信半疑半分。そんな気持ちで僕は電源を入れた。液晶画面に鮮やかな表示が浮かび上がると、なんだか少しだけ、気持ちが浮き立つような気がした。まるで、新しい挑戦のスタートラインに立った気分だった。昔、初めてサッカーボールを手に取った時の、あのワクワクに似ているのかもしれない。
実際に使ってみて
使い始めは、設定に少し戸惑うかなと思っていたけれど、思ったよりもずっとスムーズだった。スマホとの連携も簡単で、あっという間に僕の腕の相棒は準備完了。
最初に驚いたのは、通知機能だ。スマホを取り出さなくても、腕元でメッセージや電話の着信が確認できるのは、想像以上に便利だった。会議中にポケットの中でスマホが震えても、チラッと見るだけで済む。
そして、歩数計。最初の一日は、特に意識せず過ごしてみた。夜、スマートウォッチのアプリを開いて自分の歩数を見て、「え、こんなに少ないの!?」と愕然とした。日頃の運動不足を数字で突きつけられると、さすがに無視できない。それから、心拍数や消費カロリーなど、様々なデータが自動的に記録されていく。
最初はただ見ているだけだったけれど、気がつけば毎日の日課になっていた。まるで、自分の体がどれだけ頑張っているかを教えてくれる、小さなコーチができたみたいだった。
良かったところ
このガジェットを使い始めて、僕の生活にいくつかの良い変化が訪れた。
- 日常の活動量が楽しく可視化される
毎日どれくらい歩いたか、どれくらい体を動かしたかが一目でわかる。達成目標を設定すると、それをクリアした時の達成感がたまらない。昔サッカーでゴールを決めた時のような、小さな喜びを感じるようになった。
- スマホを触る回数が減り、集中力が高まった
腕元で通知を確認できるおかげで、無駄にスマホを開くことが減った。仕事中に集中力が途切れることも少なくなり、以前よりも効率的に作業を進められるようになった気がする。
- 睡眠の質がわかるようになり、体調管理に意識が向いた
毎晩の睡眠サイクルを記録してくれる機能は驚きだった。深い眠りや浅い眠りの時間がグラフで表示されることで、自分の体調を客観的に把握できるようになった。自然と「今日は早く寝よう」とか「ちゃんと休息をとろう」という意識が芽生え始めた。
気になったところ
もちろん、良いことばかりではなかった。いくつか、僕が使い続ける中で気になった点も挙げておきたい。
- バッテリーの持ちが気になる
日中の活動量をしっかり計測するためには、ほぼ毎日充電が必要だ。充電を忘れると、次の日一日データが取れないことがあり、少し残念に感じる時がある。
- 通知の選別が手間
初期設定のままだと、スマホに来る全ての通知がスマートウォッチにも届いてしまう。必要な情報とそうでない情報を選別して設定する作業は、少し時間を要した。使いこなすには、ある程度のカスタマイズが必要だと感じた。
どんな人に向いてる?
僕がこのガジェットを強くおすすめしたいのは、かつての僕のような人だ。
- 毎日忙しくて、なかなか運動する時間が取れないと感じている人
- 自分の健康状態を漠然と気にしているけれど、具体的な行動に移せていない人
- スマホの通知に振り回されて、集中力が散漫になりがちな人
- 何か新しいことを始めたいけれど、そのきっかけが見つからないと悩んでいる人
この小さなデバイスは、そんなあなたの背中をそっと押してくれるはずだ。自分の体の声に耳を傾け、日々の小さな変化に気づくことで、きっと新しい自分を発見できるだろう。
使い続けて数週間の今
このガジェットを使い続けて数週間。僕の生活は少しずつ、確実に変わり始めた。仕事帰りに一駅歩いてみたり、エレベーターではなく階段を使ってみたり。週末には、近所の公園で軽く体を動かす時間も作るようになった。タケシが言っていた「またやればいいのに」という言葉が、この小さなガジェットを通じて、現実味を帯びてきたのだ。
あの時、居酒屋でタケシと話していた時にふと頭をよぎった。「サッカーだけじゃない。他にも、昔好きだったこと、やりたかったこと、たくさんあったはずだ」。このガジェットは、僕が自分の人生を見つめ直し、昔の情熱を思い出すきっかけをくれた。それはまるで、僕がまたボールを追いかける楽しさを思い出したような感覚だった。
その日の帰り道、僕は、新宿駅のホームで電車を待っていた。腕に光るガジェットを見るたびに、また一歩、前に進んでいるような気がした。心なしか、行き交う人々の顔色も、以前より少しだけ明るく見えた。
📚 あわせて読みたい


コメント