📝 この記事のポイント
- 休日の昼下がり、ソファで寝転んでいたら猫に顔を踏まれて目が覚めた。
- どこの猫もそうなのか、我が家の猫もやたらと顔の上を歩きたがる。
- 特に鼻の頭を踏みつけられると、ちょっとした圧迫感が心地よくて、そのままうつらうつらと二度寝してしまいそうになる。
休日の昼下がり、ソファで寝転んでいたら猫に顔を踏まれて目が覚めた。
どこの猫もそうなのか、我が家の猫もやたらと顔の上を歩きたがる。
特に鼻の頭を踏みつけられると、ちょっとした圧迫感が心地よくて、そのままうつらうつらと二度寝してしまいそうになる。
今回もご多分に漏れず、鼻の穴に猫の毛が入り込む寸前で、なんとか意識を取り戻した。
猫は満足げに喉を鳴らしながら、私の腹の上に陣取ってグルグルと毛づくろいを始めた。
その様子をぼんやりと眺めながら、ふと、そろそろまつげパーマの予約を入れないとな、と思った。
前回の施術からすでに二ヶ月が経ち、私のまつげは螺旋階段の踊り場のように中途半端な角度で曲がりくねっていた。
そういえば、前回行ったサロンがなかなか良かったんだよな、と記憶を辿る。
駅から徒歩5分、初回限定で驚きの2,980円。
しかもホットペッパービューティーの口コミ評価も4.8と高得点。
これは行くしかないでしょう、と鼻息荒く予約を入れたのが数ヶ月前のことだった。
予約当日、初めて訪れるサロンは、雑居ビルの3階にあった。
エレベーターを降りると、アロマの良い香りがふわりと漂ってきた。
白と木目を基調とした内装で、雑誌に載っているようなおしゃれな空間だ。
「これは当たりかも!
」と内心ガッツポーズをしたのを覚えている。
受付で名前を告げると、奥からすらりとした男性が出てきた。
まさか、この人が私の担当?
と一瞬目を疑った。
いや、男性スタッフがいることは別に珍しいことではない。
美容師さんにも男性はたくさんいるし、むしろ男性の方がセンスが良かったりすることもある。
しかし、まつげパーマとなると話は別だ。
目を閉じ、至近距離で細やかな作業をされる。
その間、私の顔はほぼ無防備な状態だ。
そんな繊細な施術を、まさか男性にされるとは想像もしていなかった。
もちろん、男性スタッフだからといって技術が劣るわけではないだろう。
むしろ丁寧で、仕上がりも完璧だった。
でも、何となく、こう、心の準備ができていないというか。
事前にスタッフ紹介のページをしっかり見ていれば、男性スタッフがいることが分かったかもしれない。
そうしたら、女性スタッフを指名しただろうか。
いや、指名料がかかるなら、おそらくそのまま男性スタッフに当たっていたかもしれない。
なにせ、3,000円以下の施術に、さらに追加料金を払うのは私の辞書にはない。
ケチくさいと思われるかもしれないが、これが私の現実だ。
結局、施術中はずっと、目を閉じながらも「この人、私のすっぴんの顔をどう思っているんだろう」とか、「もしかして、私のだらしなく伸びたまつげを見て、内心引いているんじゃないか」とか、くだらないことをぐるぐると考えていた。
そんなことを考えながらも、途中、気持ちよすぎて軽く寝落ちしかけたのはここだけの話だ。
そんなことを思い出しながら、今日こそは予約を入れようとスマホを手に取った。
ホットペッパービューティーのアプリを開き、いつものように「まつげパーマ」「駅近」「安い」の三拍子で検索をかける。
すると、前回と同じサロンが、またもや初回限定クーポンを出しているではないか。
しかも、前回よりさらに安くて2,780円。
これはもう、運命としか言いようがない。
「また、あの男性スタッフさんだったらどうしよう」と一瞬頭をよぎったが、200円安くなっているという事実に、私の理性はあっさり敗北した。
結局、そのままポチッと予約確定。
我ながら、学習しないな、と思う。
そして、スタッフ紹介ページを改めて見てみたが、やはり男性スタッフの写真は掲載されていなかった。
これは戦略なのか、それとも単なる手抜きなのか。
まあ、いいか。
どうせ目を閉じているんだし、仕上がりが良ければそれでいい。
それに、もしまた同じ男性スタッフさんだったら、「あ、またこの人だ」と心の準備ができる分、前回よりは落ち着いて施術を受けられるだろう。
そう、何事も経験だ。
まつげパーマの話から少し脱線するけれど、私は昔から、こういう「どうせなら安い方がいい」という思考回路で、衝動買いをしては後悔するタイプだ。
例えば、先日もそうだった。
スーパーのレジ横で、やたらとカラフルなパッケージのグミが目に入った。
「今だけ限定!
謎のフルーツ味!
」というキャッチコピーにまんまと釣られ、カゴに放り込んだ。
確か150円くらいだったと思う。
家に帰って一口食べてみたら、なんだかよく分からない、人工的な甘さが口いっぱいに広がった。
これは失敗した、とすぐに悟った。
私の舌には合わない。
でも、せっかく買ったんだし、と、もったいない精神で毎日少しずつ食べ続けた。
結果、半分ほど食べたところで飽きてしまい、残りは夫の胃袋に消えた。
夫は「別にまずくはないけど、別に美味しくもない」と、なんとも微妙なコメントを残していた。
他にも、通販サイトで「半額セール!
今だけ限定!
」の文字に惹かれて、似たような形の水筒をすでに3つ持っているのに、4つ目の水筒を買ってしまったことがある。
届いてみたら、想像していたより一回り大きく、カバンの中でかなりの存在感を放つ。
結局、あまり使わずに棚の奥にしまい込まれてしまった。
こういう失敗は枚挙にいとまがない。
安さに釣られて飛びつき、届いてみたら「あれ?
」となる。
でも、完全に使わないわけではなく、なんだかんだで無理矢理使ってみたり、結局誰かにあげたりする。
そういうことを繰り返しているうちに、いつの間にか家の中には「まあ、いいか」で買ったものが溢れている。
夫はよく「また変なもの買ってる」と呆れた顔をするけれど、私も自分でも分かっている。
分かっているんだけど、あの「今だけ限定」「初回限定」という言葉の魔力には、なかなか抗えない。
まるで、目の前に置かれた猫じゃらしに飛びつく猫のように、無条件に反応してしまうのだ。
結局、私はこれからも、多少の後悔と引き換えに、あの限定価格の誘惑に負け続けるのだろう。
そして、また「まあ、いいか」と自分を納得させる。
まつげパーマも、グミも、水筒も。
人生なんて、そんな「まあ、いいか」の積み重ねでできているのかもしれない。
休日の昼下がり、顔の上で満足げに寝ている猫の重みを感じながら、私はそんなことを思った。
まあ、猫が可愛いから、この重みも「まあ、いいか」なのだ。
💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。
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