どん兵衛とマックのミームに見る、人生のささやかな期待と裏切り

📝 この記事のポイント

  • 歯医者の予約をすっぽかして、受付から確認電話がきて冷や汗をかいた。
  • あ、やべ、と心の中で叫びながら、慌てて「すみません、今、向かっています! 」と嘘をついた。
  • もちろん、まだパジャマ姿でリビングのソファにへたり込んでいたのだけれど。

歯医者の予約をすっぽかして、受付から確認電話がきて冷や汗をかいた。

あ、やべ、と心の中で叫びながら、慌てて「すみません、今、向かっています!

」と嘘をついた。

もちろん、まだパジャマ姿でリビングのソファにへたり込んでいたのだけれど。

こういう時の瞬発力だけはなぜか異常に高いんだよな、と自分でも感心する。

結局、電話を切ってから大慌てで着替えて、自転車を飛ばして歯医者へ。

受付で平謝りしながら「道が混んでて…」と、またしても苦し紛れの嘘をつく。

道が混んでたのは、僕の頭の中だけだった。

こんな朝から疲労困憊で、治療中もなんだかバツが悪くて、顎関節症になりそうなほど口を開けっぱなしにしながらも、頭の中では今日の夕飯の献立を真剣に考えていた。

治療を終えて、心なしか肩を落として自転車を漕いでいると、スーパーの前で近所の奥さんとばったり会った。

「あら、こんにちは。

今日はお早いですね」と声をかけられる。

「ええ、ちょっと用事があって」と歯切れの悪い返事。

たぶん、僕の顔には「やらかしました」と書いてあっただろう。

奥さんは気の毒そうな顔で「あらあら」とだけ言って、にこやかに去っていった。

こういう、詮索しない優しさが、妻の実家近くに住むことのメリットなんだよなあ、と勝手に納得する。

スーパーに入ると、カップ麺コーナーで足が止まった。

どん兵衛。

あの、最近ネットでよく見る「いにしえのどん兵衛レシピ」のやつを、一度試してみたかったんだ。

お湯を入れる前に麺だけ先に食べる、とか、粉末スープを直接口に入れる、とか、なんかこう、儀式めいた食べ方が流行ってるじゃないか。

あれって、誰が始めたんだろう?

といつも思う。

ああいう、特定の食べ方で「至高の味」みたいなのが拡散されるのって、妙に説得力があるんだよな。

なんかこう、自分だけが知らない秘密の裏技を知ったような、得した気分になる。

ちょうど、あの「マクドナルドのポテトにシェイクをディップする」とか「ハンバーガーの具を全部出して、バンズだけ食べる」みたいな、ちょっと背徳感のある食べ方に似ている気がする。

で、僕はその「いにしえのどん兵衛レシピ」を本気で試してみようと決意したわけだ。

だって、あのレシピの提唱者とされている人が、まさかの「国鉄」の制服を着た人だった、というネットミームがあるじゃないか。

あれが本当に本人なのかどうかは知らないけれど、もしそうだとしたら、その「本人」に直接話を聞いてみたい、という好奇心がむくむくと湧いてきたんだ。

「もしもし、すみません、あの、国鉄ミームの方ですか?

」なんて、いきなり電話をかけるわけにもいかないし、そもそも本当に国鉄の人なのかも分からない。

でも、もし本当にその人が、あの食べ方を発見した張本人だとしたら、どんな気持ちで今のブームを見ているんだろう、とか。

ちょっとしたロマンを感じてしまう。

スーパーでどん兵衛を手に取りながら、そんなことを妄想していたら、なんだか無性に試したくなった。

いつもは熱湯3分で食べる普通のどん兵衛だけど、今日はちょっと違う。

家に帰り着き、妻に「今日はどん兵衛で、新しい境地を開く!

」と宣言したら、「また変なこと考えてるの?

」と呆れた顔をされた。

いつものことだ。

まずは「麺をそのまま食べる」というステップ。

袋を開け、粉末スープを取り除いた麺を一口。

カリカリして、香ばしくて、これはこれで悪くない。

スナック菓子みたいだ。

でも、これだけだと物足りない。

次に「粉末スープを直接口に入れる」。

これはちょっと抵抗があったけれど、意を決してサラサラと。

うわ、しょっぱ!

と叫びそうになったが、確かにこれがどん兵衛の味の根幹なんだな、と妙に納得した。

そして、肝心の「いよいよお湯を入れて食べる」ステップ。

期待を胸に熱湯を注ぎ、いつもの3分を待つ。

いや、いつもは3分だけど、この「いにしえレシピ」では「待つ時間を短くする」という説もあった気がする。

曖昧な記憶を頼りに、結局2分くらいで蓋を開けてみた。

結果から言うと、期待は裏切られた。

いや、別に不味いわけじゃない。

むしろ美味しい。

いつものどん兵衛だ。

ただ、あの「至高の味」とか「人生が変わる」みたいな謳い文句ほどの劇的な変化は感じられなかった。

なんかこう、想像していた「特別な何か」が、そこにはなかったのだ。

「あれ?

これ、いつもと何が違うんだ?

」と首を傾げている僕を、妻は横目で見て「だから言ったでしょ」という顔をしている。

でも、別にがっかりしたわけじゃない。

むしろ、これはこれで悪くない、と思った。

期待値が高すぎただけで、いつものどん兵衛はやっぱり美味しい。

この「期待→裏切られる→でも意外と悪くない」という流れ、人生のいろんな局面で経験するよな、としみじみ思った。

例えば、あのマクドナルドのネットミーム。

ポテトをシェイクにディップする食べ方とか、僕も一度試したことがある。

最初は「え、マジ?

」って半信半疑で、一口食べたら「あ、甘じょっぱくて意外とイケるかも?

」ってなる。

でも、結局は普通の食べ方に戻る、みたいな。

どん兵衛のミームとマクドナルドのミームって、似ているようでちょっと違う気がするんだ。

どん兵衛の「いにしえレシピ」は、どちらかというと「隠された秘宝を発掘する」みたいな、内向的で探求的な面白さがある。

個人の食べ方へのこだわりを追求する感じ。

国鉄ミームの「本人」を探す、みたいなのも、その探求心に拍車をかける。

対して、マクドナルドのミームは、もっと「みんなでワイワイ楽しむ」外向的な面白さがあるように思う。

「見て見て、こんな食べ方してる人いるよ!

」とか「私もやってみた!

」みたいな、共有しやすいユーモアがある。

ポテトをシェイクに浸す絵面って、それだけで面白いじゃないか。

どっちのミームも、結局は「ちょっとした日常の刺激」を求めている点は同じなんだろうけれど、その刺激の方向性が違う。

どん兵衛は「個人の味覚の探求」、マクドナルドは「共有体験の面白さ」みたいな。

どちらも、僕たちの「いつもの日常」に、ちょっとした遊び心を加えてくれる存在だ。

結局のところ、どん兵衛はいつもの食べ方で十分美味しいし、マクドナルドのポテトもそのまま食べるのが一番好きだったりする。

でも、たまにはそういう「裏技」を試してみるのも悪くない。

もしかしたら、本当に人生が変わるような、とんでもない発見があるかもしれない。

まあ、今回のどん兵衛はそこまでじゃなかったけど、それでも「ああ、こんなもんなんだな」と納得できただけでも収穫だ。

人生、そんなもんだ。

壮大な期待を抱いて、大して変わらなかったとしても、それがまた一つの体験として積み重なっていく。

夕飯後、食器を洗っていると、妻が隣で「今度の週末、実家のお母さんとお父さんとお出かけするんだけど、あんたも来る?

」と聞いてきた。

僕は「うん、行く行く。

今度こそ時間通りにね」と、なぜか歯医者のことを思い出して苦笑いしながら答えた。

また期待と、ちょっとした裏切りと、でも意外と悪くない一日が、明日もきっと待っているんだろうな。

それが人生というものだ。


💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。

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読書熱が再燃しそう!久々に本屋行こう
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