📝 この記事のポイント
- ドラッグストアで「ついで買い」をしていたら、会計が予算の3倍になっていた。
- 季節の変わり目って、妙に気分が浮ついたり、ちょっとしたご褒美を自分にあげたくなったりする。
- とくに秋口は、夏の名残りと冬への準備がごちゃ混ぜで、肌荒れ対策の高級パックとか、温活用のバスソルトとか、ついついカゴに入れちゃう。
ドラッグストアで「ついで買い」をしていたら、会計が予算の3倍になっていた。
ああ、まただ。
季節の変わり目って、妙に気分が浮ついたり、ちょっとしたご褒美を自分にあげたくなったりする。
とくに秋口は、夏の名残りと冬への準備がごちゃ混ぜで、肌荒れ対策の高級パックとか、温活用のバスソルトとか、ついついカゴに入れちゃう。
予算オーバーはいつものこと。
レジで一瞬固まったけど、店員さんの「3点で割引になりますよ!
」という笑顔に、まあいっか、と財布の紐がさらに緩んだ。
秋限定のリンゴとシナモンの香りのハンドクリームも買っちゃった。
手が乾燥する季節だし、仕方ない。
ちょうどそんな時期、ルームシェア中のミオちゃんが健康診断に行ってきたと話していた。
テーブルでコーヒーを飲みながら、美容雑誌をめくっていた私に、彼女は得意げに言った。
「ねえ、私の血管、今日褒められたんだよ!
看護師さんに『見つけやすくて素晴らしい血管ですね!
』って言われちゃった〜」って。
え、何それ。
褒められる要素そこ?
って思ったけど、ミオちゃんは本当に嬉しそうだった。
キラキラした目で「なんか、血管って性格あるのかな?
私のはきっと素直な子なんだよ」なんて、ちょっと哲学的なことを言い出す始末。
いや、血管に性格はないでしょ。
でも、褒められたことが素直に嬉しいのはわかる。
彼女はそういうちょっとしたことで、一日がハッピーになるタイプだ。
ミオちゃんの腕は確かにスッと細くて、でも血管がくっきり浮き出ている。
採血の時、看護師さんが腕を消毒して、キュッとゴムで縛ると、あっという間に青い線が浮き上がる。
一発で針が刺さり、血がスルスルと吸い取られていく。
本当にスムーズ。
看護師さんも「お見事!
」みたいな顔で針を抜いて、絆創膏を貼ってくれる。
まさに「採血優等生」。
まるで血管が「はい、どうぞ!
」って言ってるみたいだ。
ミオちゃんはいつも、採血が終わると「はーい、終わったよー!
」って達成感に満ちた顔をする。
そのたびに、私は密かに「へえ、そういう世界もあるんだ」って感心していた。
だって、私の採血はいつも戦場だから。
私の場合、看護師さんが腕を消毒して、ゴムで縛っても、血管がなかなか姿を見せない。
「うーん、どこかな?
」って腕をくるくる回されたり、トントン叩かれたり。
「あ、ここに薄く見えるかな?
」とか「ちょっと待ってくださいね、奥に隠れてるかな?
」とか、探偵みたいなセリフが飛び交う。
看護師さんの目が真剣になるほど、私の心臓はバクバクする。
まるで、私の血管が看護師さんを試してるみたいだ。
「さあ、私を見つけられるかな?
」って、かくれんぼしてる子供みたいに。
しまいには、「ごめんなさいね、ちょっと血管が細いみたいで…」なんて言われて、別のベテラン看護師さんが呼ばれることもある。
それが私の「要・血管確認」である。
初めて「要・血管確認」の烙印を押された時は、正直ショックだった。
なんか、身体のどこかに欠陥があるみたいで。
友達が褒められてる横で、自分だけ「血管が隠れててごめんね…」って小さくなる感じ。
なんだか、自分の体が自分に反抗しているみたいで、ちょっと悲しくなった。
採血のたびに、私の血管は謎のポーカーフェイスを貫いている。
きっと、私自身がちょっとひねくれ者だから、血管もひねくれてるんだろうな、なんて変な納得をしてしまう。
カフェで飲むラテアートだって、なかなか思うように描けないし。
そんなもんだ。
冬の足音が聞こえ始めた頃、街にはクリスマスツリーが飾られ始めていた。
肌寒い季節は、温かいカフェラテが沁みる。
最近は、朝晩が特に冷えるようになったから、羽織りもの必須だ。
そういえば、冬は乾燥するし、体調も崩しやすいから、健康診断は大事だよね、なんてミオちゃんと言い合っていた。
そんな会話の最中、ふと、ミオちゃんの「血管って性格あるのかな?
」という言葉を思い出した。
私とミオちゃん、採血に対する反応は全然違う。
彼女は「血管優等生」で、私は「血管劣等生」。
でも、これって、どっちがいいとか悪いとか、そういう話じゃない気がしてきた。
ミオちゃんの血管は、確かに見つけやすい。
でも、それは彼女の身体が持つ一つの特徴であって、それが彼女の全てじゃない。
彼女は料理がちょっと苦手で、いつも焦がしちゃうし。
美容液の使い方も豪快すぎて、すぐ無くなっちゃう。
でも、そういうちょっとおっちょこちょいなところが、また可愛いんだけどね。
一方、私の血管は、確かに見つけにくい。
でも、それは私がちょっと秘密主義で、シャイな性格だからなのかもしれない。
いや、違うか。
でも、私はカフェラテのラテアートは苦手だけど、丁寧なドリップコーヒーは淹れられる。
そういうこと、あるじゃない?
つまり、血管が「優等生」だろうと「劣等生」だろうと、人間ってそれぞれに個性があるってことだ。
採血のしやすさなんて、本当に些細な違いでしかない。
大事なのは、その人がどんな人で、どんな風に生きているか、だ。
ミオちゃんは、素直で明るいところが魅力的だし、私は私で、ちょっと不器用だけど、繊細なところがある。
そう考えると、「要・血管確認」と言われる自分の血管にも、なんだか愛着が湧いてきた。
ちょっとやそっとじゃ姿を見せない、ツンデレな血管。
もしかしたら、私の血管は、私だけの秘密基地を守っているのかもしれない。
そして、冬本番。
肌は乾燥するし、風邪もひきやすい。
そんな時期だからこそ、自分の体と向き合う時間も増える。
保湿クリームを丁寧に塗ったり、温かい飲み物を飲んだり。
部屋でゆっくり過ごす時間も増えて、ルームシェアの部屋も、なんだか居心地が良くなってきた。
ミオちゃんと一緒に、冬の新作コスメを試したり、カフェ巡りに出かけたり。
そんな日常の小さな楽しみの中で、私たちはそれぞれ、自分の「推し」を見つけている。
採血がスムーズな人もいれば、そうでない人もいる。
それは、まるで、カフェで頼むコーヒーの好みが人それぞれ違うようなものだ。
ブラックが好き、ラテが好き、ソイラテが好き。
どれも正解で、どれも美味しい。
私の血管は、ちょっと気まぐれで、なかなか姿を見せないけれど、それも私の一部。
看護師さんを困らせてしまうのは申し訳ないけど、その分、見つけてもらえた時の感動は大きい。
きっと、私の血管は、そうやって、私にちょっとしたドラマを与えてくれているのかもしれない。
冬の空気は澄んでいて、星が綺麗に見える夜、私は自分の腕をそっと撫でてみた。
うん、今日も元気に、私の秘密基地を守ってくれてる。
それでいいのだ。
💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。
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