春風と「メアリー」のささやき、あるいはドラッグストアの誘惑

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📝 この記事のポイント

  • ドラッグストアで「ついで買い」をしていたら、会計が予算の3倍になっていた。
  • レジで表示された金額を見て、思わず「え、マジ? 」って声が出た。
  • 店員さんがニコッと微笑んでくれたけど、私の顔はきっと引きつっていたと思う。

ドラッグストアで「ついで買い」をしていたら、会計が予算の3倍になっていた。

いつものことだ。

いや、今回はちょっと違う。

レジで表示された金額を見て、思わず「え、マジ?

」って声が出た。

店員さんがニコッと微笑んでくれたけど、私の顔はきっと引きつっていたと思う。

季節の変わり目って、色々物入りになる。

ここ数日、春一番が吹いたかと思えば、急に冷え込んだりして、体調管理が難しい。

朝起きたら喉がイガイガ、なんてことも。

だから、今回はうがい薬とビタミン剤だけ、と心に決めていたはずなのに。

なぜかカゴには、限定パッケージのハンドクリーム、新作の入浴剤、試供品で良さを知ってしまった高級フェイスマスク、そしてなぜかミニサイズのチョコレートまで入っていた。

うん、完全に予算オーバー。

でも、春の訪れって、こういうちょっとした贅沢を許しちゃう魔力があるんだよね。

寒い冬を乗り越えたご褒美、ってことで。

先日、久しぶりに会った先輩ママのユキさんに、そんな話をしたら笑われた。

ユキさんは私より少し年上で、元気な男の子が3人もいる。

そのパワフルさにはいつも尊敬しかない。

私もいつか結婚して子どもができたら、あんな風に明るく子育てできるかな、なんて漠然と考えている。

カフェで新作の桜ラテを飲みながら、ユキさんが「最近、子どもたちがねぇ」と、ちょっと困った顔で話し始めた。

男の子あるある、みたいな。

私にはまだ未知の世界だから、興味津々で耳を傾けた。

「あの子たち、意味もなくチ◯チ◯って言いませんか?

」「え、言うんですか?

」私は思わず前のめりになった。

ユキさんは苦笑いしながら頷く。

「そうなんだよ。

もう、本当に意味不明なタイミングで連呼するの。

お風呂上がりとか、テレビ見てる時とか、ご飯食べてる時まで。

最初は『やめなさい!

私は思わず吹き出しそうになった。

想像するだけで面白い。

男の子って、そういう生き物なのか。

ユキさんはさらに続けた。

「それでね、ある日閃いたの。

もう、その言葉自体を使わせないようにしようって」「どういうことですか?

」「だから、別の言葉に置き換えることにしたの。

そう、例えば…メアリー、とかね」
「メアリー?

」私はまたしても前のめりになった。

まさかの人名。

「そう。

意味なくチ◯チ◯って言いたくなったら、『メアリー』って言うのよ、って教えたら、これが意外と効果テキメンで。

今じゃ、喧嘩してる時も『メアリー!

メアリー!

』って叫び合うし、嬉しかったら『メアリー、出た!

』とか言い出すの」「えー!

面白い!

なんか、もう原型ないですね」
「そうなの。

最初はね、私自身も『メアリー…』って口にするのが恥ずかしかったんだけど、慣れって怖いよね。

今じゃ、ごく自然に『あら、またメアリーのこと言ってるわ』なんて思ってる」ユキさんはカラカラと笑った。

その話を聞いて、私はハッとさせられた。

ユキさんの行動、すごくない?

問題に対して真正面からぶつかるんじゃなくて、斜め上から解決しようとする姿勢。

それがまた、ユーモラスで。

私だったらどうだろう。

きっと「やめなさい!

」って毎日怒鳴り散らして、最終的には疲れ果ててしまう気がする。

いや、絶対そうなる。

ルームシェアしているユミちゃんは、もうちょっと理屈っぽいタイプだから、子どもができたら「それは体の器官だから、適切な場所で適切な言葉で話しましょう」とか言いそうだ。

私ならきっと「もう!

メアリーって言わないで!

」って、なぜかメアリーを禁止してしまうかもしれない。

我ながら、全然解決策になってない。

でも、ユキさんの「メアリー」作戦は、単に言葉を置き換えただけじゃなくて、子どもたちの発想を面白がっているように見えた。

怒るんじゃなくて、ちょっとずらして、新しい遊びにしちゃってるというか。

それが、3人の男の子と毎日格闘しているユキさんの、心の余裕の作り方なのかもしれない。

その話を聞いてから、私の日常にも少し変化があった。

カフェで、隣の席に座っていた小学生くらいの男の子が、友達とひそひそ話しながら、何やら楽しそうに「メリー!

メリー!

」と繰り返しているのが聞こえた時。

思わず、私も「メアリー!

」と言いたくなってしまった。

いや、もちろん言わなかったけど。

まさか、あの先輩ママの子どもたちではあるまい、なんて考えて、ちょっとクスッと笑ってしまった。

春って、こういう想像力を掻き立てられる季節だと思う。

新しい出会いがあったり、新しい服を着てみたり。

冬の間はこたつに籠って、ひたすら暖かさを求めていたけれど、最近はカフェのテラス席で、ちょっと冷たい風に吹かれるのも心地いい。

気分まで軽くなる。

私のついで買いも、ある意味「メアリー」なのかもしれない。

本当に必要なものじゃない。

でも、ちょっとだけ気分が上がる。

ちょっとだけ心が豊かになる。

そんな「メアリー」を、私はドラッグストアで見つけているのかもしれない。

いや、別にそれを「メアリー」って呼ぶわけじゃないけど。

週末、ユミちゃんとカフェ巡りに出かけた。

新しいお店を見つけて、ワクワクしながらメニューを眺める。

「これ、すごく可愛いけど、ちょっとお高いね」「ねー。

予算オーバー」なんて言いながら、結局二人とも、限定のパンケーキと、映えるドリンクを頼んでしまった。

ドラッグストアのついで買いと一緒だ。

帰り道、ユミちゃんが突然「ねえ、今日のこのパンケーキ、メアリーだね」って言い出した。

「メアリー?

」私は驚いて聞き返した。

「だってさ、別に食べなくても生きていけるし、贅沢品じゃん。

でも、すっごく幸せな気持ちになったでしょ?

そういう『無駄だけど最高』なものって、メアリーじゃない?


ユミちゃんの言葉に、私は深く頷いた。

そうか、そういうことか。

ユキさんの「メアリー」は、子どもたちの衝動的な言葉を、ユーモラスな日常のスパイスに変える魔法だった。

そして、私たちの「メアリー」は、日々のささやかな贅沢を、心のご褒美に変える魔法。

考えてみれば、私の暮らしにも「メアリー」はたくさんある。

ルームシェアの部屋で、急に模様替えを思い立って、深夜に家具を動かし始めることとか。

美容雑誌で紹介されていたコスメを、衝動的にネットでポチってしまうこととか。

どれもこれも、論理的に考えたら「いや、それ今必要?

」って言われそうなことばかりだ。

でも、そういう「メアリー」があるから、毎日がちょっとだけ楽しくなる。

ちょっとだけ、彩り豊かになる。

ドラッグストアで予算オーバーしたフェイスマスクも、きっとそういう類いのものだ。

週末の夜、湯船に浸かりながら「今日の私もよく頑張った」と自分を労うための、ささやかな儀式。

それが私にとっての「メアリー」なのかもしれない。

ユキさんのメアリーと、私のメアリー。

形は違うけど、根っこは一緒。

日常に潜む、ちょっとした可笑しさや、心のゆとりの種。

春の風が、そんな「メアリー」を運んでくる。

さあ、今週も頑張って、新しい「メアリー」を探しに行こうかな。

次は、どんな「メアリー」に出会えるだろう。

カフェの新作スイーツか、それとも春色の新しいリップか。

楽しみは尽きない。


💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。

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