ドラッグストアの魔力と、ラジオのゆらぎの話。

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📝 この記事のポイント

  • ドラッグストアで「ついで買い」をしていたら、会計が予算の3倍になっていた。
  • シャンプーの詰め替えだけのはずが、なぜか限定パッケージのリップ、気になっていた新作の入浴剤、さらにはセールになっていた高級フェイスマスクまで。
  • レジで「え、こんなに? 」と心の中でつぶやきながら、自分の記憶力のなさを恨む。

ドラッグストアで「ついで買い」をしていたら、会計が予算の3倍になっていた。

シャンプーの詰め替えだけのはずが、なぜか限定パッケージのリップ、気になっていた新作の入浴剤、さらにはセールになっていた高級フェイスマスクまで。

カゴの中はもはや美容の玉手箱だった。

レジで「え、こんなに?

」と心の中でつぶやきながら、自分の記憶力のなさを恨む。

いや、ドラッグストアの誘惑が強すぎるんだ、きっと。

そんな罪悪感と、新しいリップへのワクワクを抱えながらルームシェアの部屋に帰ると、同居人のハルちゃんが、なぜか耳にイヤホンをつけ、紙とペンを片手に真剣な顔でラジオを聴いていた。

いつもはTikTokのダンス動画を撮ってるか、カフェ巡りの計画を立ててるか、どちらかなのに。

その姿があまりにも新鮮で、思わず「何してるの?

」と声をかけた。

ハルちゃんはイヤホンを片方外して「あ、おかえり。

これね、ラジオの受信調査してる人のブログ見てるの」と教えてくれた。

ラジオの、受信調査?

聞けば、たった5局で日本全国をほぼカバーするらしい「NHKラジオ第二」というものが世の中にはあって、それを47都道府県の県庁所在地で受信してみた、という人がいるらしい。

しかも、その人は「これは残すべき最強インフラだ」とまで言ってるんだって。

ハルちゃんは、そのブログを読みながら、ふむふむと頷いている。

普段、流行りのカフェの新メニューを吟味するかのごとく、真剣な顔。

その熱量に圧倒されて、私は思わず「へぇ〜」と、棒読みになった。

ハルちゃん曰く、その受信調査ブログがめちゃくちゃ面白くて、電波が届きにくい場所での工夫とか、地方ごとの周波数の違いとか、そういうのが細かく書いてあるらしい。

私にはまったくピンとこない話だけど、ハルちゃんのキラキラした目を見ていると、なんだかすごいことのように思えてくる。

彼女は、私の美容系ついで買いに対する熱量と、同じくらいの情熱をラジオの電波に注いでいた。

「すごいよね、たった5局で全国だよ?

災害とかあった時に、絶対必要じゃん」とハルちゃんは熱弁する。

私は、災害時に「お肌しっとりフェイスマスク」が役に立つかどうかを考え、たぶん役に立たないな、と思った。

いや、精神的な安らぎにはなるかもしれない。

いやいや、待てよ。

私は一体何と戦っているんだ。

ハルちゃんの話を聞いていると、普段考えもしないようなことに頭が回り出す。

考えてみれば、この季節の変わり目、特に秋から冬への移り変わりって、体調を崩しやすいし、気分もなんだか沈みがちになる。

先日も、朝晩の冷え込みで、うっかり薄着で出かけてしまい、見事に鼻声になった。

ああ、もう衣替えしなきゃ、と重い腰を上げたはいいものの、結局出したのは去年の冬物。

新しい服を買うかどうかで、また優柔不断を発揮してしまっている。

そんな私の目の前で、ハルちゃんは、電波のゆらぎに心をときめかせている。

「これってさ、カフェ巡りみたいなもんじゃない?

」ハルちゃんが突然、私の方を見て言った。

「どういうこと?

」と聞き返すと、「だってさ、電波を求めて、行ったことない場所に行くんでしょ?

その土地の空気を感じて、その場所でしか得られないものを感じるのって、カフェ巡りと一緒じゃん!

」と満面の笑み。

なるほど、確かに。

カフェ巡りも、ちょっと遠いお店まで足を伸ばして、そこでしか飲めないコーヒーとか、見た目も可愛いスイーツに出会うのが醍醐味だ。

その視点、なかったわ。

ハルちゃんの着眼点に、思わず膝を打った。

私は私で、新発売のリップを求めて、限定色をハシゴしたりする。

ドラッグストアだけじゃなくて、デパートのコスメカウンターにも行くし、ネット通販も駆使する。

そのリップが、どの光の下で一番美しく見えるか、どの肌色に合うか、鏡の前で何回も試す。

それだって、ある意味「探求」だ。

美を求めて、新しいコスメを探し回る。

それもまた、立派な冒険なのかもしれない。

ハルちゃんがラジオの電波を追いかけるように、私は美容のトレンドを追いかける。

一見まったく違うように見えるけど、どちらも「未知との遭遇」を楽しんでいるんだ。

電波の届かない場所で奮闘する人と、新色のリップが似合わなくて鏡の前で一人でうなだれる私。

なんだか滑稽で、でもちょっと愛おしい。

ハルちゃんはさらに、受信調査ブログのコメント欄で「昔はラジオで英会話を勉強してたな」とか「深夜の放送で、遠い街の情報を得てた」とか、そういう懐かしいコメントが並んでるのがまた良いんだ、と教えてくれた。

ラジオって、そんなに昔から、知らない世界を繋ぐ役割を担っていたんだな。

私は、最近知った新感覚のリップティントで、唇がプルプルになることに感動しているけど、その感動だって、誰かの開発努力の結果だ。

そういえば、先日カフェで隣の席に座っていたおばあちゃんが、小さなラジオを耳に当てて、にこにこしながらコーヒーを飲んでいた。

その時は、レトロで可愛いな、くらいにしか思わなかったけど、今思えば、おばあちゃんも、電波のゆらぎに癒されていたのかもしれない。

私だって、お気に入りのカフェで、とろけるようなパンケーキを前にした時、心の中で「幸せ〜」って、そよぐ風のように呟く。

そう考えると、ハルちゃんが熱中するラジオの受信調査も、私がドラッグストアで美容アイテムを「ついで買い」してしまう衝動も、根っこは一緒なのかもしれない。

新しい発見や、ちょっとしたトキメキを求めている。

それが、電波の彼方にある情報だったり、肌触りの良いフェイスマスクだったりするだけだ。

秋風が窓を叩いて、部屋の中にもひんやりとした空気が流れ込む。

夏物を片付けて、冬服を出さなきゃいけないな、と思いつつ、まだTシャツ一枚で過ごしている私。

季節の移ろいについていけてないのは、ファッションだけじゃない。

ハルちゃんのラジオ話を聞いて、新しい世界の広がりを知って、ちょっとだけ自分の価値観も衣替えが必要かも、なんて思った。

結局、その日はハルちゃんが「このブログの人、今度は沖縄の離島で試してるって!

」と興奮気味に報告するのを、新しく買ったリップを塗ってみながら聞くという、なんとも不思議な時間になった。

私は美容への探求を止めないし、ハルちゃんは電波のロマンを追いかける。

どっちもどっち、きっとそれでいい。

お互いの「好き」を尊重しつつ、季節の変わり目を健やかに乗り切ろう。

ドラッグストアの誘惑に負けつつも、時にはラジオの音に耳を傾けるのも、悪くないかもしれない。

まあ、とりあえず今日は、このフェイスマスクで、心と体を潤しておこうっと。


💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。

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