📝 この記事のポイント
- 月刊ビッグガンガン 2019 Vol.05 amzn.to ¥550 2026年2月28日 10:35時点 詳細を見る この雑誌を再び手に取ったのは、ほんの気まぐれだった。
- 平日の夜、仕事を終え、猫のグルーミングを済ませ、ようやく訪れる静寂の時間。
- スマートフォンを眺めるのにも飽いて、ふと、あの段ボールの存在を思い出したのだ。

この雑誌を再び手に取ったのは、ほんの気まぐれだった。平日の夜、仕事を終え、猫のグルーミングを済ませ、ようやく訪れる静寂の時間。スマートフォンを眺めるのにも飽いて、ふと、あの段ボールの存在を思い出したのだ。
最初に感じたのは、ずしりとした重み。電子のデータにはない、確かな質量。ページをめくるたびに「サラリ」と鳴る乾いた音は、今の静かな部屋には少しだけ大きく響いた。猫が怪訝そうな顔でこちらを見ている。インクの独特の匂いが、記憶の扉を叩く。そう、私はこの匂いをよく知っている。
購入した当初、ある連載作品が目当てだった。その物語に会えることを楽しみに、一ページ、また一ページと読み進めていった。しかし、目次を何度見返しても、その名前が見当たらない。おかしい。私の記憶が間違っているのだろうか。それとも、この雑誌そのものが、私の知っているものとは少しだけ違う、別の世界のモノなのだろうか。そんな馬鹿なことを考えた。
期待していたものが「ない」という事実に気づいた時、奇妙な静けさが心を支配した。それは怒りや失望とは違う、もっと静かで深い感情。パズルのピースが一つだけ足りないような、小さな違和感。だが、その欠落が、私を別の道へと誘った。
目的を失った私は、ただ漫然とページをめくり始めた。すると、今まで一度も目を向けたことのなかった物語たちが、次々と目に飛び込んできたのだ。名前も知らない主人公たちの冒険、日常、そして葛藤。それは、予定調和を失ったからこそ得られた、予想外の邂逅だった。特に、あるダークファンタジー作品の世界観には心を奪われた。もしお目当ての作品が掲載されていたら、私はこの物語の存在に気づかないまま、この雑誌を本棚の肥やしにしていたかもしれない。
3ヶ月が経つ頃には、この分厚い紙の束は、私の夜の静かな相棒になっていた。ソファの定位置、私の隣にはいつもこの雑誌があり、その上では猫が満足げに喉を鳴らしている。ページには猫の毛が挟まり、よく読むページには微かな手垢がついた。完璧な保存を諦めた時、この雑誌は初めて、私の日常の一部として呼吸を始めたのだ。
未知の物語との邂逅
最大の収穫は、意図せずして出会った物語たちだ。当初の目的が果たされなかった空白を埋めてくれたのは、ノーマークだった『ゴブリンスレイヤー』の外伝や、『ハイスコアガールDASH』といった作品群だった。特に後者は、前作を読んでいなかった私でもすんなりと世界に入り込むことができ、90年代の空気感を追体験するような懐かしさと新鮮さが同居していた。まるで、入る店を間違えたはずが、そこで絶品の料理に出会ってしまったような感覚。この「寄り道」の体験こそ、多くの物語がひしめき合う雑誌という媒体の、本質的な魅力なのかもしれない。一つの宇宙が、この一冊に凝縮されている。それを探検する楽しみは、特定の目的地を目指す旅とはまた違った、豊かな時間を与えてくれた。
物質としての充足感
電子書籍の便利さは知っている。場所を取らず、いつでもどこでも読める。だが、この紙の塊が与えてくれる充足感は、やはり何物にも代えがたい。指先で感じる紙のわずかな凹凸、ページをめくる時の乾いた音、そして、新しい本とも古本とも違う、数年という時間が染み込んだインクの匂い。それら全てが、物語を読むという行為を、より深く、立体的な体験にしてくれる。愛猫が雑誌の上で丸くなって眠る時、その体温が紙に伝わり、ほんのりと温かくなる。抜け毛が栞のように物語の途中に挟まっているのを見つけると、この雑誌が過ごした時間の痕が、私と猫の生きた証のように思えてくる。それは、決してデータでは再現できない、物質だけが持つ記憶だ。
そこに、ないという事実
やはり、触れないわけにはいかない。購入の最大の動機だった『薬屋のひとりごと』が、この号には掲載されていなかったこと。それは、予約したレストランに行ったら、臨時休業の札がかけられていたような、静かな空虚感をもたらした。事前に告知されていたと記憶していたのだが、それすらも曖昧な記憶の彼方だ。私の勘違いだったのかもしれない。だが、あると信じていたものが「ない」という事実は、この雑誌の評価において、無視できない影を落としている。もちろん、そのおかげで他の素晴らしい作品に出会えたのは事実だ。しかし、あの時感じた、世界の整合性が少しだけズレたような感覚は、今も微かに胸の内に残っている。完璧な円を想像していたのに、ほんの一欠片だけが足りないような、そんなもどかしさだ。
Q1: ペットがいる環境での保管は大変ですか?
A: 正直に言って、気を使います。猫は角で爪を研ごうとしますし、犬なら噛んでしまうかもしれません。私の場合は、猫の毛が挟まるのは日常の記録として諦めていますが、湿気対策だけは欠かせません。ビニールカバーをかけ、本棚の中でも風通しの良い場所に置いています。完璧な状態を維持するのは、動物と暮らす家ではほぼ不可能だと割り切る心構えが必要です。
Q2: 電子版と比べてどうですか?
A: 全く別の体験、としか言いようがありません。利便性なら電子版に軍配が上がります。しかし、紙の雑誌には「時間」が記録されます。日焼け、ページのめくり癖、ふとした染み。それら全てが、読んだ人間の生きた証になります。まるで、自分だけのアーティファクトを育てているような感覚。どちらが良いというより、あなたが物語に何を求めるか、その違いだと思います。
Q3: 読み応えは十分ありますか?
A: ありすぎるほどです。全ての連載を真剣に追うと、一晩ではとても足りません。むしろ、情報を浴びすぎて疲れてしまうかもしれません。私の経験から言うと、一度に全てを読もうとせず、毎晩少しずつ、お気に入りの一杯を楽しむように読み進めるのが最適です。そうすることで、この一冊が、次の号を待つまでの一ヶ月間を豊かに彩ってくれるはずです。

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