📝 この記事のポイント
- 改訂3版 これからはじめるプログラミング 基礎の基礎amzn.to¥2,2002026年2月20日 0:29時点詳細を見る 就職活動という名の、終わりの見えないトンネル。
- 手当たり次第に企業の説明会に参加し、大量の情報を浴び、消化不良のままESを書く。
- そんな日々の繰り返しに、精神は少しずつ削られていった。

就職活動という名の、終わりの見えないトンネル。その中で、私は光を求めていた。手当たり次第に企業の説明会に参加し、大量の情報を浴び、消化不良のままESを書く。そんな日々の繰り返しに、精神は少しずつ削られていった。
この本を読み始めたのは、そんな現実からの逃避だったのかもしれない。プログラミングなんて、自分とは無縁の世界。そう思っていた。最初の数日は、ただ活字を追うだけの作業だった。専門用語が頭の上を滑っていく。だが、1ヶ月が経った頃だろうか。日常に、奇妙な変化が現れ始めた。
きっかけは、ESの構成を練り直していた時だった。志望動機と自己PR、ガクチカ。散らばった要素を前に途方に暮れていた私の頭に、ふと、本で読んだ「変数」と「関数」という言葉が浮かんだのだ。
「もし、私の経験を『変数』として定義するなら?」
「その変数を『関数』である自己PRに代入し、企業が求める『戻り値』を出力するには?」
無意識のうちに、そんな思考をしていた。ぞっとした。まるで、私の脳に新しいOSが静かにインストールされたかのようだった。
それから、世界の見え方が少しずつ変わっていった。コンビニで昼食を選ぶときも、「予算」と「栄養バランス」と「時間」という複数の条件でフィルタリングし、最適な解を導き出している自分に気づく。複雑に絡み合った人間関係も、それぞれの要素に分解し、関係性を図式化して捉えようとしている。
この本は、プログラミング言語の文法を教えているだけではなかった。コンピュータが世界をどう認識し、問題をどう処理するのか。その根源的な「思考のフレームワーク」そのものを、私の脳に移植しようとしていたのだ。
5ヶ月が経った今、私はまだトンネルの中にいる。けれど、以前のような闇雲な不安はない。手元には、物事を構造的に捉え、論理的に道を切り拓くための地図とコンパスがある。この本が、いつの間にかそれを与えてくれていた。これは、単なる技術書ではない。混沌とした現代を生き抜くための、思考のサバイバルキットだ。
思考の「型」がインストールされる感覚
多くの入門書は、知識を断片的に与えてくる。「これが変数です」「これが繰り返し処理です」と。それはそれで正しい。しかし、それらはただの部品に過ぎない。部品だけ渡されても、全体像が見えなければ何も組み立てることはできない。
この本が他と一線を画すのは、まず「設計図」を見せてくれる点にある。コンピュータがどのように情報を処理し、命令を実行するのか。その根本的な仕組み、いわば思考の「型」を最初に提示してくれる。この「型」を理解すると、一つ一つの知識がパズルのピースのようにカチリとハマっていく感覚がある。
この感覚は、プログラミング学習の枠を超えて日常を侵食してくる。例えば、グループディスカッションで議論が紛糾した時。私は、各々の意見を「引数」とし、議論の目的を「関数」と見立て、最適な「戻り値(結論)」を導き出すための道筋を冷静に考えることができるようになった。これは、この本が私の脳に「構造化」という思考のOSをインストールしたからに他ならない。それは、静かで、しかし不可逆的な変化だった。
迷子にならない地図
ITの世界は、あまりにも広大で深い森に似ている。どこから足を踏み入れればいいのか、今自分がどこにいるのか、すぐに見失ってしまう。多くの初学者がここで挫折する。私も、過去に別の本でその森に迷い込み、引き返した経験があった。
だが、この本は違った。それはまるで、熟練のガイドのように、まず森の全体像が描かれた大きな地図を広げてくれるのだ。「ここが入り口で、あちらには川が流れている。この道を進めば、開けた場所に出る」。最初に森の全体構造、つまりプログラミングという概念がどのように成り立っているのかを丁寧に説明してくれる。
だから、個別の技術(例えば、特定の構文やデータ型)という一本の木について学んでいる時も、常に自分が森のどのあたりにいるのかを把握できる。全体像というコンパスが手元にあるから、道に迷う恐怖がない。この安心感は計り知れない。他の本が特定の木の観察日記だとすれば、この本は森そのものを歩くための、信頼できる地図なのだ。
最初は「壁」のように感じる
正直に告白すると、最初の20ページで一度本を閉じようかと思った。全くの門外漢である私にとって、序盤に登場する専門用語の群れは、高くそびえ立つ壁のように見えたのだ。「ビット」「バイナリ」「アルゴリズム」。まるで、知らない国の言葉で書かれた古代の碑文を読んでいるかのようだった。親しみやすいイラストや平易な言葉遣いを心がけてくれているのは分かる。だが、概念そのものが、私の日常からあまりにもかけ離れていた。
しかし、これは乗り越えるべき「壁」ではなく、通り抜けるべき「扉」だったのだと後から気づいた。数ページだけ、意味が分からなくても、ただ文字を追うことだけを自分に課した。すると、ある瞬間から、点と点だった用語が線で結ばれ、意味を成し始める。その扉を抜けた先には、驚くほど論理的で美しい世界が広がっていた。ただ、その扉の存在に気づくまでの数時間は、深い霧の中を一人で歩いているような、少しだけ心細い時間が流れることは伝えておきたい。
Q1: 全くの未経験でも読み進められますか?
A: 私自身がそうでした。最初の数時間は、異世界に迷い込んだような感覚に陥るかもしれません。しかし、この本は異世界の「ガイドブック」としての役割を忠実に果たしてくれます。5ヶ月間、この本と共に過ごして分かったのは、必要なのは前提知識よりも「書かれていることを理解しようとする意志」だということです。著者は、読者が何も知らないという前提で、根気強く同じ概念を繰り返し説明してくれます。その手を、信じて付いていけるかどうかが重要です。
Q2: 他のたくさんの入門書と比べてどうですか?
A: 他の多くの入門書が、特定の観光地の「歩き方」を教えてくれるガイドブックだとすれば、この本は「地図の読み方」と「コンパスの使い方」そのものを教えてくれる教本です。前者はその場所でしか役立ちませんが、後者を一度身につければ、どんな未知の土地でも自分の力で歩いていけるようになります。つまり、応用範囲が全く違うのです。特定の言語を学ぶのではなく、すべてのプログラミングに共通する「原理原則」を学ぶ。その違いは、後々大きな差となって現れると感じています。
Q3: 改訂3版とのことですが、内容は古くないですか?
A: 私も最初に気になった点です。ITの世界は日進月歩で、情報はすぐに古くなる。しかし、この本が扱っているのは、流行り廃りの激しい特定の技術やライブラリではありません。コンピュータサイエンスの根底に流れる、普遍的な「基礎の基礎」です。それは、建築で言えば、最新のデザインではなく、鉄筋コンクリートの作り方や物理法則のようなもの。時代がどれだけ変わろうと、その重要性が揺らぐことはありません。むしろ、新しい情報が氾濫する今だからこそ、この変わらない土台が、確かな羅針盤として機能するのだと確信しています。

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