📝 この記事のポイント
- 美容院で「いつも通りで」と言ったら、担当者が変わっていて微妙な仕上がりに。
- 前回の担当さんは私のつむじの渦の右回り具合まで把握してくれていたのに、新しい担当さんは「右に流しますね」とか言いながら、なんか違う方向にドライヤーの風を当てている気がする。
- いや、いつも通りって言ったじゃん! と心の中でツッコミつつ、仕上がりを見て「あ、ありがとうございます」と引きつった笑顔で言うのが常。
美容院で「いつも通りで」と言ったら、担当者が変わっていて微妙な仕上がりに。
前回の担当さんは私のつむじの渦の右回り具合まで把握してくれていたのに、新しい担当さんは「右に流しますね」とか言いながら、なんか違う方向にドライヤーの風を当てている気がする。
いや、いつも通りって言ったじゃん!
と心の中でツッコミつつ、仕上がりを見て「あ、ありがとうございます」と引きつった笑顔で言うのが常。
結局、家に帰って自分で手直しするのがお約束なんだけど、今回はもう諦めて帽子をかぶることにした。
こういう「いつも通り」が通じないことって、日常に溢れてる気がするんだよね。
特に春先になると顕著じゃない?
スーパーに行けば、「春限定!
さくら味!
」とか「期間限定!
桜色スイーツ!
」みたいなポップが踊りまくってて、ついつい手に取っちゃう。
ピンク色のパッケージってだけで、なんかこう、心が躍るというか、買わなきゃ損みたいな気分になるんだから不思議。
うちの娘も「ママ、これ可愛い!
買って!
」って、ピンク色のチョコボールとか、桜デザインのポテトチップスとか、どんどんカゴに入れてくる。
で、結局買うじゃん。
家に帰って食べてみるじゃん。
…あれ?
これって、桜の味…なのか?
「さくら味」って、一体何味なんだろうって、真剣に考えたことある?
あの独特の、ちょっと塩気があって、ほんのり甘い、フローラルだけど食べ物っぽいあの香り。
あれって、桜の花そのものの味じゃないよね。
だって、桜の花びらって、ほとんど味がしないはずじゃん。
お花見で屋台の焼きそば食べながら、たまに風でひらひら舞ってきた花びらが口に入っても、「わ!
桜の味!
」ってなったこと、一度もないもん。
むしろ「あ、髪の毛についた」くらいの存在感。
私、昔からずっと疑問だったんだけど、この「さくら味」って、絶対桜餅の葉っぱの味に引っ張られてると思うんだよね。
あの、塩漬けにした桜の葉っぱ。
あれをかじった時の、甘じょっぱいような、ちょっと葉っぱ臭いような、あの独特の風味が、「さくら味」の正体なんじゃないかなって。
だから、正確には「桜の葉っぱの塩漬け風味」って言うべきなんじゃないかと。
でも、それだと商品名としてちょっと地味というか、春のときめき感が足りないよね。
「春限定!
桜の葉っぱの塩漬け風味チョコ!
」とか言われても、なんか購買意欲が湧かないもん。
やっぱ「さくら味」っていう魔法の言葉が、私たちを惑わせるんだよな、きっと。
この間、近所のドラッグストアで見つけた「さくら風味のリップクリーム」もすごかった。
塗った瞬間、口元からあの桜餅の香りがふんわり。
唇が塩漬けの葉っぱになった気分。
娘が「ママ、おいしそうな匂い!
」って言ってきたから、「これ、桜の葉っぱの香りだよ」って言ったら、「えー、桜の花の香りじゃないの?
」って、すごい残念そうな顔してた。
やっぱりみんな、「桜の花」のイメージで「さくら味」を捉えてるんだよね。
そりゃそうだ、だって桜は花が主役だもん。
でも、本当に桜の花の味を追求したら、きっと「無味無臭、もしくはほんのり青臭い」みたいな、全然購買意欲をそそられない味になっちゃうんだろうな。
だから、企業側も色々考えて、「桜餅の風味をベースに、さらにフローラルな香りを足して、ちょっと甘酸っぱさを加える」みたいな、脳内で構築された「理想のさくら味」を創り出してるんじゃないかって。
そう考えると、あのピンク色のパッケージが、私たちに春の訪れを錯覚させるための、いわば「視覚による味覚誘導装置」みたいなものなのかもしれない。
企業が仕掛ける“春の雰囲気”って、そういうことか!
と一人で妙に納得した瞬間だった。
この「イメージで味を創り出す」現象って、他のものにも言えるよね。
例えば、メロン味のアイスキャンディー。
あれって、本物のメロンの味と全然違うじゃん。
なんかこう、青臭くて、人工的な甘さが特徴。
でも、それが「メロン味」として確立されてるから、私たちは何の疑問も持たずに「メロン味だ!
」って受け入れてる。
むしろ、本物のメロンの味がするメロン味のアイスキャンディーが出たら、「あれ?
なんか違う」って思っちゃうかもしれない。
そう、もはや私たち消費者の味覚が、その「イメージの味」に調教されちゃってるんだよね。
ちょっと怖い話になってきたぞ。
電車に乗ってると、そういう「イメージと現実のギャップ」みたいなものを、よく見かける。
この前なんて、ちょっと気取ったおじさんが、真新しいスーツを着て、ピカピカの革靴履いて、シュッとキメてるんだけど、足元だけなぜか白いスニーカーなんだよね。
しかも、ちょっとよれよれの。
いや、そこは革靴でしょ!
ってツッコミたくなった。
スーツにスニーカーって組み合わせは、今どきアリっちゃアリだけど、そのスニーカーがどうにもこうにも残念な仕上がりで、せっかくのキメキメスーツが台無し。
きっと、おじさんの中では「お洒落なはず」っていうイメージがあったんだろうけど、現実が追いついてないパターン。
まさに「いつも通り」が通じてない美容院の私と一緒だ。
あるいは、スーパーのレジで、前の人がカゴいっぱいにヘルシーそうな野菜とか豆腐とか入れてるのに、一番上にデカいパックの唐揚げと、ショートケーキ乗っけてるのを見たりすると、「あ、この人は自分へのご褒美を忘れないタイプね」って勝手に解釈しちゃう。
きっと、一週間ヘルシーな食事で頑張った自分への、ささやかな反乱なんだろうな。
いや、もしかしたら、家族の分かもしれないけど、唐揚げとショートケーキだけが妙に浮いてるから、もうこれは「自分へのご褒美」に違いない。
人間って、イメージで物事を判断しがちだけど、そこにちょっとした矛盾やギャップがあると、途端に面白く見えるんだよね。
結局、「さくら味」は「桜餅の葉っぱの塩漬け風味をベースに、企業が創り出した春の幻想」ってことで、私は一旦納得することにした。
だって、その方がロマンがあるじゃない?
桜の花びらそのものの味がしなくても、あのピンク色と甘じょっぱい香りが、私たちに春の訪れを教えてくれるんだから、それはそれでアリだよね。
この間、娘が学校から帰ってきて、「ママ、今日ね、給食に桜もちが出たの!
」って、目をキラキラさせて報告してくれた。
私は「えー、いいなー!
」って言いながら、心の中で思った。
「きっとあれも、桜の葉っぱの味なんだろうな…」って。
でも、娘にとっては「桜もち=春の味」なんだろうな。
それって、素敵なことだよね。
私ももうすぐ40代に手が届きそうなパート主婦だけど、そういう純粋な「春の幻」を追いかけ続ける気持ちは、いつまでも持っていたい。
美容院で「いつも通りで」が通じなくても、なんだか微妙な仕上がりになっても、まあ、それも人生のスパイスってことで。
帰り道、スーパーでまたピンク色の「さくら味」の何かを見つけたら、きっとまたカゴに入れてるんだろうな。
そしてまた、「うん、やっぱりこれは桜餅の葉っぱの味だ」ってニヤニヤしながら、春の幻想に浸るんだ。
それでいいじゃん。
だって、春だもん!
💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。

