ドゥドゥン!で雷が落ちた日と、犬の言い訳

📝 この記事のポイント

  • ゴミ出しの日を間違えて、週末までゴミを抱えて暮らすことになった。
  • 金曜日の朝、気合いを入れて可燃ゴミ袋を玄関にスタンバイさせ、愛犬のポチの散歩ついでに出そうとしたら、隣の奥さんが「あら、燃えるゴミは明日よ」と優しく教えてくれた。
  • え、マジで? この間も間違えた気がする。

ゴミ出しの日を間違えて、週末までゴミを抱えて暮らすことになった。

金曜日の朝、気合いを入れて可燃ゴミ袋を玄関にスタンバイさせ、愛犬のポチの散歩ついでに出そうとしたら、隣の奥さんが「あら、燃えるゴミは明日よ」と優しく教えてくれた。

え、マジで?

この間も間違えた気がする。

いや、先週もだ。

フリーランスになってから、曜日感覚が完全に麻痺している。

仕方なく、パンパンに膨らんだゴミ袋を再び玄関の隅に押し込み、ポチを連れてトボトボと散歩に出かけたのだった。

そんなゴミ袋を横目に過ごす週末は、なんだかちょっと匂う気がして、換気扇を回しっぱなしにした。

気のせいかもしれないけど、微かに生ゴミと、ポチが粗相した時に拭き取ったティッシュの匂いが混じり合った、独特の芳香が家中に漂っている気がしてならない。

週末の夕方、ポチを連れて近所のスーパーへ買い物に出かける。

普段はカートに乗せたポチに話しかけながら、今日の夕飯は何にしようかな、と気分で決めるのが常なんだけど、この日はなぜか妙にテレビが見たくなった。

いや、正確には、録画しておいたバラエティ番組を見たくなったのだ。

以前、友人宅で見てハマった番組で、芸能人が一般の家庭を訪問して、ひたすらご飯を食べるだけのゆるい内容なんだけど、これが妙に癒される。

家に帰ってポチにご飯をあげ、自分も買ってきたお惣菜を広げて夕飯にする。

その間も、テレビのことが頭から離れない。

食後、ソファにドスンと座り、リモコンを手に取った。

さて、録画番組を見るか、それとも最近見始めたNetflixのドラマの続きを見るか。

いや、待てよ。

この前、ネットフリックスで新しい映画が配信されたって言ってたな。

確か、あの北欧のミステリー映画だ。

予告編を見て、これは絶対面白い!

って思ったやつだ。

よし、今日はそれにしよう。

リモコンのNetflixボタンをポチッと押した。

そして、その瞬間、私の耳と鼓膜と、何なら魂までを揺さぶる、とんでもない爆音が炸裂した。

「ドゥドゥン!

」と、雷が落ちたのかと思うような、いや、それどころか、世界の終わりを告げるような、凄まじい轟音が部屋中に響き渡ったのだ。

ポチは、それまで私の足元でいびきをかいていたのに、その音に飛び起き、一瞬宙に浮いたかのように「ひぎゃっ!

」と奇妙な声を上げてひっくり返った。

私も「うわぁっ!

」と叫びながら、思わずリモコンを取り落とし、ソファから転げ落ちそうになった。

何が起きたのか、一瞬理解できなかった。

心臓がバクバクいって、呼吸が荒くなる。

ポチはというと、まだ半狂乱で、私の足元に駆け寄ってきて、しっぽを股の間に挟んで震えている。

まるで、私が何か恐ろしい魔法を唱えたかのような顔つきだ。

「ポチ、ごめん、ごめんね!

大丈夫だよ、雷じゃないよ!


そう言って、震えるポチを抱きしめる。

抱きしめたポチの心臓も、私の心臓と同じくらいバクバクいっている。

まるで、二人でジェットコースターに乗った後のような状態だ。

ようやく事態を把握した。

テレビの音量がマックスになっていたのだ。

それも、完全に、マックス。

MAX!

なぜ、そんなことになっていたのか。

考えてみれば、昨日、姪っ子と甥っ子が遊びに来ていたんだった。

彼らがゲームをしていた時に、音量を上げていたのかもしれない。

いや、きっとそうだ。

小学生の男の子と女の子、ゲームに夢中になって、音量なんて気にしないだろう。

それに、私だって、昨日はあまりテレビを見ていなかったから、音量を確認する機会もなかった。

言い訳に聞こえるかもしれないけど、本当に、まさかマックスになっているとは夢にも思わなかったんだ。

でも、本当に申し訳ないのはポチだ。

彼にとっては、まさに青天の霹靂だっただろう。

ソファから飛び起き、宙に浮き、ひっくり返るという、一連のアクションを瞬時にこなしたポチの身体能力には脱帽するけれど、その後の震え具合を見ていると、申し訳なくてたまらない。

私が落ち着いてから、ポチはソファの隅っこに隠れて、警戒した目で私を見ている。

まるで、「この人、いつまた爆音を出すかわからない」とでも言いたげな表情だ。

ごめんよ、ポチ。

ママが悪かった。

Netflixの起動音、「ドゥドゥン!

」は、通常であれば、これから始まる物語への期待感を高める、心地よい響きだ。

それが、これほどの凶器になるとは、想像だにしなかった。

あの音量で、もしホラー映画でも見ていたら、私はきっとそのままショック死していたかもしれない。

いや、ポチが先に逝っていた可能性もある。

ポチは臆病だから。

その夜、私はなかなか眠りにつけなかった。

目を閉じると、「ドゥドゥン!

」の爆音が耳にこびりついて離れない。

そして、ポチがひっくり返った時の、あの奇妙な「ひぎゃっ!

」という声が何度もリフレインする。

さすがに、ポチもいつもより警戒心が強く、私のベッドの足元ではなく、ソファの下に潜り込んで眠っていた。

これは、完全に私の信頼を失ったパターンだ。

翌朝、私はポチにいつもより多めのおやつをあげ、なでて謝罪した。

ポチはまだ少し警戒しているものの、しっぽを軽く振ってくれたので、少しは許してくれたのかもしれない。

「これからは、テレビをつける前に必ず音量を確認しよう」と心に誓った。

いや、確認するだけでなく、一度は最小まで下げてから、ゆっくりと上げていこう。

それが、爆音テロリストにならないための、唯一の方法だ。

それにしても、あの「ドゥドゥン!

」は、あれほどまでに破壊力がある音だったのか。

いつもは何気なく聞き流していた音が、これほどまでに心臓に悪いとは。

日常の中にある、当たり前の音や光景が、ちょっとした条件の違いで、全く別の表情を見せる。

それはまるで、いつも通る道に、突然見たことのない花が咲いていたような驚きだ。

いや、今回の場合は、花じゃなくて爆弾だったけど。

今回の件で、私はちょっとだけ賢くなった。

いや、賢くなったというよりは、ちょっとだけ臆病になった、と言った方が正しいかもしれない。

テレビのリモコンを手に取るたびに、一瞬躊躇するようになった。

そして、ポチの様子をチラリと確認する。

彼が安心して眠っているか、落ち着いているか。

もし、彼が爆音でひっくり返るようなことがあったら、私自身がひっくり返ってしまう。

ゴミ出しの曜日を間違えるくらいなら、まだ笑い話で済む。

でも、愛するポチを爆音で恐怖のどん底に突き落とすのは、さすがに堪える。

これからは、もっと周囲に気を配り、音量にも、そしてゴミ出しの曜日にも、細心の注意を払って生きていこうと思う。

たぶん、来週にはまたゴミ出しの曜日を間違える気もするけれど、それはそれ。

音量だけは、もう二度とマックスにしないと誓う。

いや、誓ってみる。

もしかしたら、またうっかりやってしまうかもしれないけれど、その時は、ポチに特上のおやつをあげて許してもらおう。

それが、私とポチの間の、暗黙のルールになりつつあるんだよね。


💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。

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