📝 この記事のポイント
- はじめに:新たな"嫌われ者"の登場 『ゲーム・オブ・スローンズ』(以下GOT)ユニバースに、また一人、視聴者の怒りを買う悪役が誕生した。
- HBO Maxで独占配信中の新スピンオフ『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』(以下KOTSK)に登場するエリオン・ターガリエン(演:フィン・ベネット)だ。
- 配信開始からわずか3日で670万人という歴代トップ3に食い込む視聴者数を獲得した本作。
はじめに:新たな”嫌われ者”の登場
『ゲーム・オブ・スローンズ』(以下GOT)ユニバースに、また一人、視聴者の怒りを買う悪役が誕生した。HBO Maxで独占配信中の新スピンオフ『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』(以下KOTSK)に登場するエリオン・ターガリエン(演:フィン・ベネット)だ。
配信開始からわずか3日で670万人という歴代トップ3に食い込む視聴者数を獲得した本作。その成功の陰には、視聴者を戦慄させる極悪非道な悪役の存在がある。かつてジョフリー・バラシオンが「テレビ史上最も嫌われた悪役」として君臨したように、エリオンもまた新たな憎しみの象徴として立ち現れた。
しかし驚くべきは、多くの視聴者や批評家が「エリオンはジョフリー以上に邪悪だ」と口を揃えることだ。本当にそうなのか?それとも新しいキャラクターだからこそ強烈に感じるだけなのか?この記事では、両者を徹底比較し、エリオンがなぜ「ジョフリー以上」と評されるのかを深掘りしていく。
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ジョフリー・バラシオン:テレビ史に残る”嫌われ者”
ジョフリーの残虐性
まず、エリオンと比較するために、ジョフリーがどれほど酷い悪役だったかを振り返ろう。
ジョフリー・バラシオン(演:ジャック・グリーソン)は、表向きはロバート王の長男として育てられたが、実際はサーセイ・ラニスターとジェイミー・ラニスターの近親相姦によって生まれた子供だ。王位を継いだ後、その傍若無人で残虐な性格が本領を発揮する。
ジョフリーの主な悪行
- エダード・スターク処刑:議会の決定を無視し、気まぐれでエダード(ネッド)を処刑。これによりGOTの壮絶な物語が動き出す
- サンサへの虐待:婚約者サンサに父の生首を見せつけるなど、サディスティックな行動を繰り返す
- ロス殺害:娼婦ロスを弓矢で射殺するという残虐な趣味
- ティリオンへの嫌がらせ:叔父ティリオンを執拗にいじめ、小人の演劇で辱める
- 母親への暴言:母サーセイすら平気で侮辱し、暴力を振るうこともあった
シーズン4第2話「獅子と薔薇」で毒殺されたとき、視聴者から「もっと苦しんで欲しかった」という声が多数寄せられたほど、ジョフリーは嫌われていた。目が充血し、顔色が赤黒く変わっていく毒殺シーンはHBOドラマならではのリアリティで、多くの視聴者がスカッとした瞬間だった。
ジョフリーの特徴:感情的な暴君
ジョフリーの残虐性は主に感情的な衝動によるものだった。癇癪持ちで甘やかされて育った彼は、自分の気に入らないことがあるとすぐに激高し、周囲の助言を無視して暴走する。
- 気まぐれで残酷
- 母サーセイに甘やかされ、王としての教育が欠如
- 権力を盾に横暴を働く
- 周囲からは恐れられるが、弟トメンには慕われていた
つまり、ジョフリーは「王の権力」があったからこそ、その残虐性を存分に発揮できたのだ。もし彼が単なる貴族の息子だったら、ここまでの害をなすことはできなかっただろう。
エリオン・ターガリエン:計算された悪意
エリオンの基本情報
エリオン・ターガリエンは、デロン有徳王の孫で、メイカー太子の次男として生まれた。時代設定はGOTの約100年前、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の双竜の舞踏(ターガリエン家の内戦)から約100年後だ。
ターガリエン家はこの時代、まだ鉄の玉座を守っているものの、ドラゴンを失い、かつての勢いは衰えつつある。エリオンは王位継承順位が高いわけではないが、ターガリエン家の血統と権威を強く意識している。
演じるフィン・ベネットは、米Comicbook.comのインタビューで「彼はターガリエン家の重みと血筋を強く感じている」と分析。『GOT』や『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の先人たちの演技を参考にしつつも、「どうすればオリジナルの演技ができるか?自分の足跡を残せるものは何か?」と考えたという。
エリオンの残虐性:計算された破壊
ジョフリーと決定的に異なるのは、エリオンの残虐さが計算されているという点だ。
第3話で明らかになったエリオンの悪行
- 馬上槍試合での卑劣な行為
- 勝利のためだけに対戦相手の馬を意図的に殺害
- 騎士道精神を完全に無視した行動は、観客全員をドン引きさせる
- 人形劇一座を反逆者扱い
- 気まぐれに人形遣いの一座を反逆者として告発
- 人形遣いの娘タンセルを痛めつける
- ダンクへの暴虐
- タンセルを救おうとしたダンクを一方的に攻撃
- 反撃されると、逆にダンクを裁判にかける暴挙
- 弟たちへの虐待
- 弟エッグ(後の王エイゴン5世)のペットを殺害
- 「妹にして結婚するために体を切り刻む」と脅迫
- 弟デイロンも酒に溺れるほど兄を恐れている
これらの行動は、単なる感情の爆発ではない。エリオンは冷静に、自分の欲望を満たすために他者を傷つけることを選択している。勝つためなら手段を選ばず、家族すら容赦なく脅す。その計算高さが、ジョフリー以上に恐ろしいのだ。
周囲の反応が物語る悪の深さ
エリオンの恐ろしさを最も象徴しているのが、周囲の人々の反応だ。
わずか一日で6人の騎士が集結
エリオンの暴虐に異を唱えるため、ダンクを擁護する騎士たちがわずか一日で6人も集まった。その中には、エリオンの叔父であるベイラー・ターガリエンまで含まれている。
通常、王族の身内が王族に対して決闘裁判の擁護者になることは考えられない。しかし、ベイラーはそれでも自らダンク側に立つことを選んだ。これは、エリオンの行為がもはや誰の目にも弁護不可能であることを示している。
弟たちの恐怖
ジョフリーの弟トメンは兄に憧れを抱いていたが、エリオンは違う。弟のエッグとデイロンは、兄から受けてきた恐怖をダンクに打ち明ける。
エッグは自分のペットが兄に殺されたと信じており、さらには「妹にして結婚するために体を切り刻む」と脅された過去を語る。この発言は、近親婚が当たり前のターガリエン家においてすら異常であり、血縁に対して一切の情を見せないエリオンの冷酷さを物語っている。
デイロンに至っては、予知夢の能力を持ちながらも、それを扱いきれずに酒に溺れる姿が描かれる。彼は「残酷な家で育つとはどういうことか」を体現する存在だ。
二人の決定的な違い:権力の有無
ジョフリーとエリオンを比較する上で、最も重要なポイントは権力の有無だ。
ジョフリー:王の権力が残虐性を加速
ジョフリーが”王”だったことは、彼の残虐性を語る上で欠かせない要素だ。王の権力という後ろ盾があったからこそ、彼は誰にも止められることなく暴君として振る舞えた。
母サーセイは息子を甘やかし、祖父タイウィンですら孫の暴走を完全には止められなかった。周囲が恐れて従うしかない環境が、ジョフリーの残虐性を増長させていたのだ。
エリオン:権力なき破壊者
一方、エリオンは王位継承順位が高いわけではない。彼の父メイカー太子は王の次男であり、エリオンはその次男。つまり、王位から遠い立場にある。
それにもかかわらず、叔父ベイラーや父マエカーが抑え役として存在し、実際に彼の行動を咎める場面が描かれているのに、エリオンは傷つけることをやめない。
王の権力すら持たずに、これほどの害をなす。
それこそが、エリオンがジョフリー以上に”邪悪”だと評される最大の理由だ。彼は権力に守られているわけではなく、純粋に自分の残虐性によって周囲を恐怖に陥れている。制約があってもなお、破壊的な行動を続ける。その本質的な邪悪さが、視聴者を震撼させるのだ。
演出と物語構造の違い
GOTの群像劇 vs KOTSKの冒険譚
GOTが複数の視点から描かれる群像劇だったのに対し、KOTSKはダンクとエッグという二人の主人公を中心とした冒険譚だ。
この違いは、悪役の描かれ方にも影響している。GOTでは、ジョフリーも多面的に描かれ、彼なりの背景や弱さも垣間見えた。一方、KOTSKのエリオンは、より明確な「敵役」として機能している。
ユーモアと残虐性のコントラスト
原作者ジョージ・R・R・マーティンの「ダンクとエッグの物語」は、GOT本編よりもユーモアに溢れた作品として知られている。ダンクの不器用さやエッグとの掛け合いなど、コミカルな要素が随所に散りばめられている。
だからこそ、エリオンの残虐性が際立つ。明るく楽しい冒険の雰囲気を一瞬で破壊する彼の存在は、ジョフリー以上に「場違いな悪」として描かれているのだ。
原作からの変更点と映像化の工夫
七の審判
KOTSKシーズン1は、原作小説「草臥しの騎士」(全6話構成)を映像化している。クライマックスとなるのが「七の審判」だ。
七の審判とは、告発者側と擁護者側がそれぞれ7人の騎士を立て、決闘裁判で決着をつける古の慣習。エリオンはダンクに対してこの七の審判を要求し、父メイカーも含む告発者側7人 vs ダンクを擁護する7人という壮絶な戦いが繰り広げられる。
この決闘の結末は、GOTファンにとって重大な意味を持つ。なぜなら、ベイラー・ターガリエンが命を落とし、弟デイロンの予知夢が現実になるからだ。つまり、エリオンの暴虐が、ターガリエン家の王位継承にまで影響を与える歴史的事件となるのだ。
映像化による恐怖の増幅
原作小説では文章で描かれていたエリオンの残虐性が、映像化によってより直接的に視聴者に伝わる。馬が倒れる瞬間、タンセルが痛めつけられる場面、エッグが兄への恐怖を語るシーン。
これらすべてが、文字以上の衝撃をもって視聴者に突き刺さる。フィン・ベネットの演技も秀逸で、冷たく計算高い目つき、時折見せる狂気の笑み。彼の演技力が、エリオンというキャラクターに命を吹き込んでいる。
視聴者・批評家の反応
海外の反応
X(旧Twitter)より
- 「エリオンはジョフリー以上に最低。少なくともジョフリーには権力があった。エリオンは単なる次男なのに、この破壊力」
- 「馬を殺すシーン、本当に許せない。ジョフリーは人間を殺したけど、エリオンは馬まで…」
- 「エッグがペットを殺されて、妹を脅されたと語ったとき、画面に向かって叫んでしまった」
Reddit GOT板より
- 「ジョフリーは感情的だった。エリオンは冷静に残酷。これが一番怖い」
- 「ベイラーが甥に対抗して戦うって、どれだけエリオンが酷いんだよ」
- 「ジョフリーが死んだときスカッとしたけど、エリオンにはもっと酷い最期を望んでしまう」
日本の反応
日本ではU-NEXTで独占配信されており、2月23日(月・祝)には杉田智和&釘宮理恵による日本語吹替版が全6話一挙配信される予定だ。
字幕版を視聴した日本のファンからも反響が寄せられている:
- 「エリオン、ジョフリー以上にムカつく。でも演技がうますぎて目が離せない」
- 「ターガリエン家の闇を体現してる。ドラゴンの血筋の狂気ってこういうことか」
- 「弟たちへの脅迫が酷すぎ。血縁でも容赦ないって、どんな育ち方したんだ」
ターガリエン家の血と狂気
「コインが投げられるたびに」
GOTファンなら誰もが知る有名な言葉がある。「ターガリエン家に子供が生まれるたびに、神はコインを投げる。片面は偉大さ、もう片面は狂気」
エリオンは明らかに、狂気の面が出た存在だ。ターガリエン家の血統を誇りに思いながらも、その血に宿る狂気に支配されている。
比較:他のターガリエン
同じ時代に生きる他のターガリエンと比較すると、エリオンの異常性がより明確になる。
- ベイラー・ターガリエン(叔父):王の世継ぎでありながら、正義のためにダンクを擁護する騎士道精神の持ち主
- デイロン・ターガリエン(兄):予知夢の能力を持つが、それを扱いきれずに酒に溺れる繊細な性格
- エイゴン(エッグ):後に「民の王」と呼ばれる賢王エイゴン5世となる少年
同じ血を引きながらも、これほど違う。エリオンだけが、ターガリエン家の狂気を色濃く受け継いでしまったのだ。
原作者ジョージ・R・R・マーティンの意図
権力と暴力の本質を問う
マーティンは一貫して、「権力を持つ者が暴力をふるうことの恐ろしさ」を描いてきた。ジョフリーは王という絶対的権力を持った暴君だった。
エリオンを描くことで、マーティンは別の問いを投げかける。「権力がなくても、人は残虐になれるのか?」答えは「イエス」だ。
エリオンは王位から遠く、父や叔父に制止されてもなお、破壊的な行動をやめない。つまり、暴力性は権力から生まれるのではなく、人間の本質に宿るものだと示唆しているのだ。
ダンクとエッグの成長物語との対比
KOTSKの本質は、騎士ダンクと従士エッグの成長物語だ。ダンクは不器用ながらも正義感が強く、エッグは聡明で将来の賢王としての片鱗を見せる。
この二人の清廉さを際立たせるために、エリオンという最悪の対比が必要だった。光が強ければ影も濃くなる。エリオンの邪悪さがあってこそ、ダンクの騎士道精神が輝くのだ。
結論:エリオンは本当にジョフリー以上なのか?
この問いに対する答えは、「視点による」というのが正直なところだろう。
ジョフリーの恐ろしさ
- 王という絶対的権力を持っていた
- 感情的で予測不可能な暴君
- 数多くの主要キャラクターの人生を破壊した
- GOT全体のストーリーを動かす重要な悪役
エリオンの恐ろしさ
- 権力なき破壊者
- 計算された冷酷な残虐性
- 血縁すら容赦しない冷血さ
- 本質的な邪悪さ
個人的な結論
もし「どちらがより多くの人を傷つけたか」で判断するなら、ジョフリーの方が上だろう。彼は王として、国全体を混乱に陥れた。
しかし、「どちらがより本質的に邪悪か」で判断するなら、エリオンかもしれない。権力に守られることなく、純粋に自分の残虐性によって周囲を恐怖に陥れる。その本質的な悪こそが、エリオンの真の恐ろしさなのだ。
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今後の展開予想
七の審判の結末
原作を知るファンは、七の審判がどのような悲劇的結末を迎えるかを知っている。しかし、映像化によってどこまで原作に忠実に、あるいはどのような変更が加えられるかは未知数だ。
エリオンは降伏するのか?それとも最後まで悪役として君臨するのか?ベイラーの死がどう描かれるのか?
エリオンのその後
ここで重要な歴史的事実を一つ。エッグ(エイゴン)は後に王となるが、その治世は決して平穏ではなかった。兄エリオンの影響が、エッグの王としての在り方に影響を与えたことは間違いない。
KOTSKがシリーズ化され、原作の他の中編も映像化されるなら、エリオンのその後が描かれる可能性もある。彼は改心するのか?それとも最後まで悪役として君臨するのか?
まとめ:新時代の悪役の誕生
エリオン・ターガリエンは、間違いなくGOTユニバースに新たな恐怖をもたらした。ジョフリー・バラシオンと並び称されるだけの残虐性、冷酷さ、そして本質的な邪悪さを持っている。
「ジョフリー以上」かどうかは視聴者それぞれが判断すべきだが、少なくとも彼が「ジョフリーに匹敵する悪役」であることは間違いない。
フィン・ベネットの演技、制作陣の丁寧な描写、そして原作の素晴らしさが相まって、エリオンというキャラクターは視聴者の記憶に深く刻まれるだろう。
KOTSKシーズン1の残りのエピソード、そして日本語吹替版の配信を心待ちにしつつ、このウェスタロスの新たな悪役から目が離せない。
配信情報 『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』
- 字幕版:HBO Max on U-NEXTで毎週月曜日更新中
- 吹替版(杉田智和&釘宮理恵):2026年2月23日(月・祝)全6話一挙配信
関連作品
- 『ゲーム・オブ・スローンズ』全8シーズン:HBO Max on U-NEXTで配信中
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- シーズン3:2026年後半公開予定
※本記事にはネタバレが含まれています。

