📝 この記事のポイント
- 電車で隣に座った人の香水が強烈で、途中下車して車両を変えた。
- あれ、香水ってどこまで許されるんだろうね。
- 鼻腔の奥にへばりつくようなあの匂い、あれはもう公害だよ。
電車で隣に座った人の香水が強烈で、途中下車して車両を変えた。
あれ、香水ってどこまで許されるんだろうね。
鼻腔の奥にへばりつくようなあの匂い、あれはもう公害だよ。
僕の人生のこだわりって、いくつかあるんだけど、その一つが「匂い」なんだよね。
特に人工的な匂いにはめっぽう弱い。
柔軟剤の匂いも、最近のは強すぎるのが多くて、ドラッグストアで選ぶのにいつも苦労してる。
嗅覚って、五感の中でも一番原始的というか、直接的に脳に訴えかける感じがするから、余計に拒否反応が出やすいのかもしれない。
駅のホームで深呼吸して、改めて乗り直した電車の中で、僕はぼんやりと今日の夕飯のことを考えていた。
今日は単身赴任先の僕の住処で、冷凍庫の隅に追いやられていた鶏むね肉を救出しよう、と決意したばかりだった。
単身赴任もかれこれ三年目になる。
週末だけ家族の元へ帰る生活にもすっかり慣れてしまった。
慣れって恐ろしいね。
最初の頃は、週末のたびに「ああ、また一人か」なんて物悲しい気分になったものだけど、今じゃ「よし、今週も頑張ったぞ!
」と自分を鼓舞しながら、最寄りのスーパーで半額になった惣菜を漁るのがささやかな楽しみになっている。
惣菜といえば、最近、スーパーのレジの対応がやけに丁寧になった気がしない?
以前は、いかにも「バイトです」って感じの、ちょっと覇気のない学生さんが多かったんだけど、最近は妙にテキパキしてて、袋詰めの手際もいいし、「ありがとうございます!
」の声も朗らかなんだよね。
あれ、なんかちょっと前まで、スーパーのレジって人手不足で大変だって聞いた気がするんだけどな、とふと思ったわけ。
僕ね、こういう小さな疑問が頭にこびりつくと、寝ても覚めても気になるタイプなんだ。
寝る前にベッドの中でスマホをいじりながら、つい「スーパー レジ 人手不足」なんて検索しちゃう。
もちろん、仕事中にうっかり見ちゃった会社の資料の端っこに書いてあった「同一労働同一賃金」なんていう、なんだか難しそうな言葉も、頭の片隅に引っかかっていた。
あれって結局、どうなったんだろうね?
僕の会社でも、なんか導入しようとして、会議で偉い人がやたらと難しい横文字を並べて説明してたけど、結局よく分からないまま立ち消えになったような気がする。
あれ、いつの間にか「同一労働同一賃金」の話、社内で聞かなくなったな、なんて、ふと気になったんだ。
まあ、僕の部署にはあんまり関係ない話だったから、深く考えもしなかったんだけど。
で、色々調べてみたんだ。
もちろん、会社の資料じゃなくて、ネットのニュースとか、一般の人が書いたブログとか、そういうやつをね。
そしたら、面白いことが分かったんだ。
どうやら、「同一労働同一賃金」って、世間的には確かに導入されたんだけど、その一方で、深刻な人手不足と、最低賃金がグンと上がったことで、なんだか別の力が働いてるらしい、と。
つまり、会社が「じゃあ、この仕事は正社員と非正規で差をつけられないから、みんなまとめて賃上げしよう」ってなる前に、もっと切羽詰まった状況が起こってたんだね。
人が足りないから、募集しても来ない。
来ないから、賃金を上げざるを得ない。
最低賃金も上がるし、もう「この賃金じゃ来ないよな」ってレベルまで上がっちゃってるんだ。
これはまるで、自然界の摂理みたいなものだよね。
ライオンがシマウマを追いかけるように、会社が人を追いかける。
で、シマウマも必死に逃げる。
結局、一番強いシマウマじゃなくて、一番魅力的な条件を出した会社に、人が流れていく。
なんか、壮大な食物連鎖を経済の世界で見てるような気分になったよ。
僕のスーパーのレジ係の人が、以前より活き活きしているのも、もしかしたらそういう「市場原理」みたいなものの恩恵を受けているのかもしれない。
そうか、頑張って人を集めようとしたら、自然と賃金も上がるし、サービスの質も上がる、ってことなのかな。
なんて、感心しちゃったわけ。
でもね、こういう話を聞くと、「じゃあ、僕の給料ももっと上がるべきなんじゃないか?
」なんて、ちょっとした期待を抱いちゃうんだけど、これがまた世の中うまくいかないもんだ。
僕の部署は、どちらかというと「市場原理」とはちょっと違う場所にあるらしく、相変わらず「コスト削減」とか「業務効率化」とか、そういう言葉が飛び交っている。
まあ、僕の仕事なんて、単身赴任手当を食い潰しながら、週末の家族との時間のために細々と働くのがせいぜいだから、市場原理に逆らうこともできず、ただただ粛々と日々の業務をこなすのみ。
こういう時、「あー、僕ももっと市場に求められる人材だったらなぁ」なんて、ぼんやりと思うわけ。
でもね、市場に求められる人材って、一体どういう人なんだろうね?
結局、そこまで突き詰めて考えると、頭が痛くなるから、いつも途中で考えるのをやめてしまう。
で、結局、僕の生活は何も変わらないんだよね。
週末は家族の元へ帰り、子供たちから「パパ、またお土産買ってきてないの?
」なんて言われながら、スーパーで買った半額のスイーツを差し出す。
妻からは「またそんなもの食べて」とため息をつかれる。
単身赴任先では、相変わらず冷凍庫の鶏むね肉と格闘し、週末にはまた電車に乗って実家へ帰る。
そういえば、電車に乗る時に、いつも同じ車両の同じドアの位置に立つようにしてるんだけど、あれも意味不明なこだわりだよね。
別に混み具合が変わるわけでもないのに、なんとなく落ち着くんだ。
以前、一度だけ、そのこだわりを破って、別のドアから乗ってみたことがあるんだけど、なんか一日中、落ち着かなくてね。
会社の会議で発言する時も、なんだか自信なさげになっちゃって。
結局、人間って、そういう些細なルーティンとか、意味のないこだわりで、精神の均衡を保ってるのかもしれないね。
あの香水の匂いから逃げたのも、僕の小さな均衡が崩れそうになったからかもしれない。
だから、結局のところ、世の中の大きな流れとか、市場の原理とか、そういうのは僕の頭の隅っこで「へぇ」と思うだけの話で、僕の日常に直接的な影響を及ぼすことはないんだ。
相変わらず、僕はスーパーで半額の惣菜を吟味し、レジで「ありがとうございます!
」と言われるたびに、ちょっとだけ気持ちが温かくなる。
そして、鶏むね肉をどう美味しく調理するか、という永遠の課題と向き合い、週末には家族の待つ家へと帰る。
まあ、唯一変わったことといえば、最近は柔軟剤の「無香料」タイプを探すのに、妙に熱心になったことくらいかな。
あれ、意外と種類が少なくて、ドラッグストアを何軒もハシゴしちゃうんだよね。
これもまた、僕の小さな、そしてどうでもいいこだわり。
でも、そういう「どうでもいい」ことに真剣になる時間って、意外と悪くないものなんだよ。
人生、そういうことの積み重ねなのかもしれないね。
結局、僕が見つけた市場の真理は、僕個人の生活を豊かにするわけでもなく、ただ「へぇ、そうなんだ」と膝を打つだけの、ささやかな発見だった。
でも、それでいいんだ。
電車に乗って、隣に座った人の香水が強烈だったら、また車両を変えればいい。
そんなもんだよ、人生って。
そう思いながら、僕はまた今日も、最寄りのスーパーへと向かうのだった。
もちろん、いつもの時間、いつもの道を通ってね。
💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。
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