ドラゴンフルーツは筋トレ後のご褒美にはならなかった話

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📝 この記事のポイント

  • 近所のコンビニで、いつもと違う店員さんが弁当を温めすぎて湯気がすごい。
  • 透明なビニール袋が内側から曇りまくって、まるで温泉旅館の浴場にでも来たかのような錯覚を覚える。
  • 袋越しにかすかに見えるチキン南蛮弁当は、さぞかしアツアツだろう。

近所のコンビニで、いつもと違う店員さんが弁当を温めすぎて湯気がすごい。

透明なビニール袋が内側から曇りまくって、まるで温泉旅館の浴場にでも来たかのような錯覚を覚える。

袋越しにかすかに見えるチキン南蛮弁当は、さぞかしアツアツだろう。

いや、アツアツどころか、もはや蒸気機関車のような勢いで湯気を噴き上げている。

店員さんは「すみません、温めすぎちゃったみたいで……」と申し訳なさそうに言っていたけれど、僕はむしろ「ありがとうございます!

これで冬の寒さも乗り切れそうです!

」と心の中で叫んでいた。

いや、実際には心の中で叫ぶほどでもないんだけど、まあ、ちょっとした日常のサプライズってやつだ。

僕はその湯気立つ弁当を抱え、冷え切った外の空気に触れると、さらに湯気が勢いを増して、まるで僕自身が湯気を纏った仙人のようだった。

いや、仙人でもないんだけど。

そんなちょっとした違和感、というか、いつもと違う出来事に遭遇すると、なぜか昔の記憶が芋づる式に引っ張り出されてくることがある。

今日、コンビニで湯気モクモク弁当を受け取った瞬間、僕はなぜか数日前のスーパーでの出来事を思い出していた。

あれは、いつものように筋トレを終え、プロテインをガブ飲みした後、夕飯の買い出しに近所のビッグバリューへ行った時のことだ。

ビッグバリューは、品揃えが豊富で値段も手頃、僕の実家暮らしを支える大黒柱的存在である。

いつもなら鶏むね肉とブロッコリーを手に取り、レジへと向かうのがルーティンなのだが、その日は珍しく、見慣れない鮮やかなピンク色の物体が僕の目に飛び込んできた。

そいつは、まるで熱帯のサンゴ礁に咲く花のようであり、あるいは、とある漫画に出てくる悪魔の実のようでもあった。

そう、ドラゴンフルーツ。

以前から名前は知っていたけれど、実際にスーパーの棚で遭遇したのは初めてだった。

いや、もしかしたら今までも売っていたのかもしれないが、僕のアンテナが筋トレ関連食材以外をスルーしていた可能性も十分にある。

その見た目のインパクトは絶大で、表面はメタリックなピンク色、うろこ状の突起がこれまた神秘的だ。

値札を見ると、一個398円。

普段の僕なら「鶏むね肉一枚より高いじゃん」と即座に却下するところなのだが、その日はなぜか違った。

筋トレ後の高揚感と、この謎めいた果物への好奇心が、僕の財布の紐を緩めたのだ。

いや、財布の紐というほど大げさなものでもないけれど、まあ、たまには冒険もいいだろう、と。

家に持ち帰り、早速包丁で切ってみる。

外見のインパクトとは裏腹に、中は意外と地味な白。

いや、白というか、乳白色。

そして、そこにゴマのような黒い種が無数に散りばめられている。

まるで、どこかの宇宙人が落としていった食べ物みたいだ。

切り口からは、ほのかに甘い香りが漂ってきた。

いや、正確には「ほのかに」という表現がぴったりで、マンゴーやメパイヤのような強烈な南国フルーツの香りは皆無。

そこもまたミステリアスな魅力なのかもしれない。

僕は筋トレで鍛え上げた腕力で、そのドラゴンフルーツをさらにいくつかに切り分け、いざ実食。

一口パクリ。

……うん?

二口目。

……あれ?

三口目。

……うーん。

正直な感想を言うと、「あれ?

これ、無味?

」だった。

いや、無味ではない。

ほんのりとした甘みは感じる。

でも、その「ほんのり」が、僕が期待していた「南国フルーツの女王」的なパンチとはかけ離れていたのだ。

食感は、キウイと梨の中間くらいだろうか。

みずみずしさはあるけれど、シャキシャキ感もトロトロ感もない。

ただただ、控えめに、ひっそりと、そこに存在している、という感じ。

僕の頭の中では、勝手に「ドラゴンフルーツ=めちゃくちゃ甘くてジューシーな、筋トレ後の疲労回復に最適なエキゾチックフルーツ!

」というイメージが構築されていた。

しかし、実際に目の前に現れたのは、そのイメージとは全く異なる、まるで謙虚な優等生のようなフルーツだった。

いや、優等生でもないんだけど、なんかこう、主張が少ないというか。

例えるなら、飲み会の一次会では目立たないけど、二次会で意外な一面を見せてくるタイプ、とでも言えばいいのだろうか。

いや、それも違うな。

ただ、期待値が高すぎた僕が悪いのかもしれない。

パッケージに「味は控えめです」と書いてくれていれば、ここまで驚かなかっただろうに。

いや、書いてあったとしても、あの見た目からは想像できないよな、やっぱり。

思えば、僕の「食べ物あるある」は、この手の「見た目と味のギャップ」に翻弄されがちだ。

コンビニで新発売のスイーツを見つけて、「これは絶対美味いやつ!

」と意気揚々と購入し、いざ食べてみたら「あれ?

意外と普通」となるパターン。

逆に、全く期待していなかった地味な惣菜が、一口食べたら「うまっ!

」となることもある。

そういえば、昔、初めて「パクチー」を食べた時も、まさにこれだった。

独特の香りに最初は「うっ」となったけれど、慣れてくるとやみつきになる。

ドラゴンフルーツは、パクチーのようにやみつきになるほどの個性は持ち合わせていないけれど、その「控えめな存在感」は、ある意味で新鮮だった。

筋トレ後のプロテインとサプリメントで満たされた胃袋に、この控えめなフルーツが収まっていく。

正直、美味しいかと言われると、うーん、と唸ってしまうけれど、まずいわけでもない。

ただ、「期待はずれ」という感情が、僕の脳内でぐるぐる回っていた。

僕は普段、バナナを筋トレ後の栄養補給に食べている。

バナナは安いし、甘いし、腹持ちも良い。

ドラゴンフルーツ一個分の値段で、バナナなら何本買えるだろうか。

そんなことを考えていると、なんだか自分が損をしたような気持ちになってくる。

いや、別に損をしたわけじゃないんだけど、なんかこう、満足感が薄いというか。

実家暮らしの僕の部屋には、いつも漫画が散乱している。

最近はファンタジー系のバトル漫画にハマっていて、主人公が強大な敵に立ち向かう姿に、僕自身の筋トレモチベーションを重ね合わせているのだ。

漫画の中の主人公は、どんな困難にも立ち向かい、最後は必ず勝利を掴む。

しかし、現実の僕は、たった一個のドラゴンフルーツに、ちょっとした敗北感を味わっている。

いや、敗北ではない。

ただ、自分の食の感性が試されたような、そんな気分だ。

母が台所から「あんた、ドラゴンフルーツどうだった?

美味しいの?

」と声をかけてきた。

僕は一瞬言葉に詰まる。

「えっと…見た目はすごいんだけど、味は…うん、控えめかな」と正直に答えた。

母は「あらそう。

南国フルーツって何でも美味しいわけじゃないのねえ」と笑っていた。

その時、僕は思った。

この「控えめ」という表現が、この果物には一番似合っている。

派手な見た目とは裏腹に、その内側に秘めたるは、静かで穏やかな味わい。

まるで、普段は物静かな人が、実はものすごい特技を隠し持っている、みたいな。

いや、特技でもないんだけど。

でも、この経験は決して無駄ではなかった、と僕は思う。

いや、無駄ではなかった、と言い聞かせている、というのが正しいかもしれない。

少なくとも、僕は一つ賢くなった。

見た目の派手さに惑わされてはいけない、という教訓を学んだのだ。

そして、また一つ、スーパーの果物コーナーでの選択肢が明確になった。

これからは、ドラゴンフルーツを見ても、あの日の「期待と落胆」を思い出し、そっとバナナの棚へと向かうことだろう。

いや、もしかしたら、数年後にもう一度チャレンジするかもしれない。

その時には、僕の味覚も、ドラゴンフルーツへの理解も、もっと深まっているかもしれないから。

いや、深まっていなくても、それはそれでいいんだけど。

結局、僕の筋トレ後のご褒美は、いつも通りのプロテインと、たまに食べるコンビニの新作スイーツ、そして大好きな漫画を読む時間なのだ。

このドラゴンフルーツとの出会いは、そんな日常のささやかなルーティンの大切さを再確認させてくれた、貴重な経験だったのかもしれない。

みんなも、一度は経験したことあるんじゃないかな?

「これ絶対美味い!

」と思って買ったのに、期待はずれだった食べ物の話。

でも、そういう経験があるからこそ、普段の何気ない食事が、より一層美味しく感じられるんだよね。

いや、感じられるといいんだけど。


💡 このエッセイは、Togetterの話題から着想を得て、2026年の視点で書かれた創作記事です。

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