📝 この記事のポイント
- 今日もまた、東京の空はどんよりと灰色をまとっている。
- 満員電車に揺られ、会社に着く頃には既に疲労困憊。
- 気がつけば、窓の外はオレンジ色に染まり始めていた。
2026年1月27日。
今日もまた、東京の空はどんよりと灰色をまとっている。満員電車に揺られ、会社に着く頃には既に疲労困憊。朝から会議が続き、エクセルとにらめっこ。気がつけば、窓の外はオレンジ色に染まり始めていた。ああ、今日も一日が終わる。
デスクの隅に置かれたコンビニのコーヒーカップが、今日の私の相棒だった。冷めてしまったコーヒーは苦くて、甘いものが欲しくなる。ふと、スマホに目をやると、ニュースアプリのトップに「札幌市で知的障害を抱えた妹と姉が生活保護を断られ餓死した事件…九州の事件を思い出す声もあるが、福祉行政とは何かを考えさせられる」という見出しが目に飛び込んできた。
画面をスクロールして記事を読もうとしたが、途中でやめた。札幌の事件の詳細を知ったところで、私は一体何ができるのだろうか。無力感が押し寄せて、息苦しくなった。
「お疲れ様です」
隣の席の佐々木さんが声をかけてきた。佐々木さんは、いつもニコニコしていて、誰に対しても分け隔てなく優しい。
「佐々木さん、お疲れ様です。何かあったんですか?少し顔色が悪いですよ」
「ああ、実は…」佐々木さんは少し躊躇した後、話し始めた。「実家の祖母が倒れてしまって。それで、色々手続きとかでバタバタしてて」
佐々木さんの祖母は、一人暮らしをしており、最近足が悪くなっていたらしい。介護保険の手続きや、今後の生活のことなど、考えることが山ほどあるという。
「役所の窓口に行ったんだけど、なんだか事務的な対応で…」佐々木さんは困った顔で言った。「もっと親身になって話を聞いてくれると思っていたのに。まるで、ただの書類を処理する機械みたいで…」
佐々木さんの言葉を聞いて、私はさっきのニュース記事を思い出した。札幌の事件も、佐々木さんの祖母のことも、結局は行政の対応のあり方が問われているのだ。生活保護を必要とする人、介護を必要とする人、それぞれ事情は違うけれど、目の前にいる人を「人」として見ていないのではないか。
会社帰りに、近所のコンビニに寄った。レジの前に並んでいると、様々な人がいることに気づく。疲れた顔をしたサラリーマン、スマホを片手に話す女子高生、小さな子供を連れた母親、そして、杖をついたおばあさん。
コンビニの明かりは、まるで街灯のように、私たちを優しく照らしている。それは、まるで社会の縮図のようだった。それぞれの人生を抱え、それぞれの悩みや不安を抱えながら、私たちは生きている。
ふと、おでんの湯気が目に留まった。大根、たまご、こんにゃく…それぞれの味が染み込んでいて、美味しそうだ。
「すみません、大根とたまごをください」
レジでお会計を済ませると、店員さんが笑顔で言った。「温かいおでん、どうぞ召し上がってくださいね」
その笑顔に、少しだけ心が温まった。コンビニの明かりは、私たちを照らすだけでなく、私たちを繋いでいるのかもしれない。
家に帰り、おでんを食べながら、改めてニュース記事を読んだ。札幌の事件の背景には、様々な要因があった。障害年金の受給、家賃の滞納、そして、区役所の対応。一つ一つが重なり合い、悲劇を生んでしまった。
私は、自分に何ができるのか、改めて考えた。大きなことはできないかもしれない。でも、目の前の人に優しくすることはできる。困っている人に手を差し伸べることはできる。そして、社会の問題に目を背けず、声を上げ続けることはできる。
SNSを開くと、友人たちがそれぞれの意見を発信していた。社会問題について議論する人もいれば、日常の些細な出来事をシェアする人もいる。それぞれが、自分なりの方法で、社会と繋がっているのだ。
私は、自分の意見を言葉にして発信することにした。それは、小さな一歩かもしれない。でも、その一歩が、誰かの心に響くかもしれない。
深夜、ベランダに出ると、星空が広がっていた。東京の夜空は、いつも明るくて、星はあまり見えない。それでも、目を凝らして見ると、かすかに輝く星が見える。
その星を見ていると、希望が湧いてきた。私たちは、決して一人ではない。誰かが、どこかで、私たちを支えてくれている。そして、私たちもまた、誰かを支えることができる。
2026年1月28日。
新しい一日が始まった。今日もまた、満員電車に揺られ、会社に向かう。でも、昨日の私とは違う。私は、少しだけ強くなった。
会社に着くと、佐々木さんが笑顔で迎えてくれた。「ありがとうございます。色々教えてもらったおかげで、何とか手続きが進みそうです」
佐々木さんの言葉を聞いて、私は嬉しくなった。誰かの役に立てたことが、自分の存在意義を教えてくれる。
私は、これからも、日常の些細な出来事から、社会の問題を見つめ続けたい。そして、自分にできることを、少しずつでも実行していきたい。
コンビニの明かりは、今日もまた、私たちを優しく照らしている。それは、希望の光のように、私たちを未来へと導いてくれる。
そして、いつか、この国から、悲しい事件がなくなる日が来ることを、心から願っている。
—
※このエッセイは、Togetterのまとめから着想を得て創作されたフィクションです。
📚 あわせて読みたい


コメント