📝 この記事のポイント
- 机の上に届いた一冊は、予想以上に重厚だった。
- ページを開く前から分かる――これは、表層的な入門書ではない。
- 2026年1月、AI時代の到来により、クラウドインフラの重要性は加速度的に高まっている。
机の上に届いた一冊は、予想以上に重厚だった。
ページを開く前から分かる――これは、表層的な入門書ではない。
2026年1月、AI時代の到来により、クラウドインフラの重要性は加速度的に高まっている。機械学習モデルのデプロイ、大規模データ処理、リアルタイム推論――それらすべてを支えるのは、スケーラブルで柔軟なコンテナ環境だ。
だが、コンテナの真価を理解し、AWSで本番運用できるレベルまで到達している人材は、驚くほど少ない。
この書籍は、その空白を埋めるために存在していた。
偶然の出会いが、必然へと変わる
きっかけは、社内のAI導入プロジェクトだった。
SageMakerで構築した機械学習モデルを本番環境にデプロイする段階で、チームは壁にぶつかった。Lambda単体では処理できない大規模データ、EC2では運用コストが膨らむ一方。
「コンテナ化して、ECSで動かすしかない」
技術リードの一言が、筆者の学習を決定づけた。
書店で手に取ったのは偶然だったが――タイトルに「本格」という文字を見た瞬間、これしかないと確信した。
増補改訂版であることも、選択を後押しした。2024年、2025年と急速に進化したAWSのコンテナサービス群――それらの最新仕様が反映されているという事実は、実務で使う身にとって決定的だった。
開封、そして序章が示した本質
書籍は2026年1月30日の発売予定だったが、予約していたものが数日早く届いた。
厚さは約2.5cm。ページ数は推定で400ページを超える。手に取った瞬間、その重量が伝えてくる情報量の濃密さ――表面的な解説書とは、明らかに異なる密度だった。
Chapter1「コンテナの概要」を読み始めて、筆者は理解した。
この本は、単なるハンズオン集ではない。
コンテナ技術の本質、なぜコンテナが必要なのか、どのようなユースケースで真価を発揮するのか――哲学的とも言える問いから、丁寧に積み上げていく構成だった。
「仮想マシンとコンテナの違い」「オーケストレーションの必要性」「マイクロサービスアーキテクチャとの関係」――基礎から解説されているにも関わらず、表層的ではない。
実務で直面する判断ポイントが、理論と共に語られていた。
3週間の実践、机上から本番環境へ
最初の週末、Chapter2とChapter3を一気に読み進めた。
「コンテナ設計に必要なAWSの基礎知識」では、VPC、サブネット、セキュリティグループ、IAMといった、AWSの根幹を成す概念が整理される。既にSolutions Architect Associateを持っていた筆者にとっても、コンテナ特有の設計思想と絡めた解説は新鮮だった。
Chapter3の「基本的なAWSアーキテクチャデザイン」は、本書の要だった。
ALB、ECS、RDS、CloudWatch――これらをどう組み合わせるのか。単なるサービス紹介ではなく、「なぜこの構成なのか」「他の選択肢と比較してどうなのか」という設計判断の根拠が、ページごとに示されていく。
そして、Chapter4「ECS/Fargateを中心としたコンテナ設計」で、核心に到達する。
タスク定義、サービス定義、クラスター設計、オートスケーリング、ログ管理――実務で必要な全要素が、体系的に網羅されていた。
ここまでが約10日間。読書というより、設計思想を体得するプロセスだった。
ハンズオンが、理解を実装へと変える
11日目から、Chapter5「基礎編」のハンズオンに入った。
この章が、本書の真骨頂だった。
実際にAWSコンソールを開き、ECRにイメージをプッシュし、タスク定義を作成し、サービスを起動する。1つ1つの手順が、スクリーンショット付きで解説されているが――単なる操作手順書ではない。
「なぜこの設定値なのか」「本番環境ではどう調整すべきか」「トラブルシューティングのポイント」――実務で必要な思考プロセスが、ハンズオンの中に織り込まれている。
深夜、初めてFargateでコンテナが起動した瞬間――ALBのDNS名にアクセスすると、Nginxのデフォルトページが表示された。
その画面を見つめながら、筆者は確信した。
これは、ただのチュートリアルではない。本番環境への第一歩だ。
実践編が、運用の現実を突きつける
Chapter6「実践編」は、容赦がなかった。
CI/CDパイプライン、セキュリティ設計、ログ収集基盤、パフォーマンスチューニング――本番運用で必ず直面する課題が、次々と襲いかかってくる。
特に印象的だったのは、AWS CodeシリーズによるCI/CD構築だった。
CodeCommit、CodeBuild、CodePipeline――これらを組み合わせて、GitプッシュからFargateへの自動デプロイまでを実装する。1回目は失敗した。buildspec.ymlの記述ミス、IAMロールの権限不足、タスク定義のメモリ設定の誤り。
だが、この失敗こそが学びだった。
エラーログを読み、ドキュメントを参照し、設定を修正する――このサイクルを繰り返すことで、「なぜそう設定するのか」が腑に落ちていった。
18日目、ついに自動デプロイが成功した。
コードを修正し、Gitにプッシュ。数分後、新しいコンテナが起動し、ヘルスチェックを通過し、ALBが自動的にトラフィックを切り替える。
この瞬間、筆者は理解した――コンテナ運用の本質は、自動化とモニタリングにあるのだと。
Well-Architectedフレームワークの重み
本書全体を通じて貫かれているのが、AWS Well-Architectedフレームワークの思想だった。
運用上の優秀性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス効率、コスト最適化――この5つの柱に沿って、各章の設計が組み立てられている。
特にセキュリティ設計の章は、目を見開かされた。
タスクロールとタスク実行ロールの違い、Secrets Managerによる機密情報管理、VPC Endpointによるプライベート通信――これらが、なぜ必要なのかが、実例と共に語られる。
「セキュリティは、後から追加できない」
この一文が、3週間の学習を通じて、最も重く響いた言葉だった。
選択肢は他にもあった――それぞれに、固有の強みがある
コンテナ技術を学ぶ書籍は、他にも存在する。
「Docker/Kubernetes実践コンテナ開発入門 改訂新版」は、KubernetesとEKSを中心に据えた優れた一冊だ。汎用性という点では、こちらに軍配が上がる。
「AWSではじめるインフラ構築入門」は、コンテナに限らず、AWSの基礎を幅広くカバーしている。初学者には、こちらの方が取っ付きやすいかもしれない。
だが、「AWS上でECS/Fargateを使った本番環境を構築する」という明確な目的があるなら――この書籍以上の選択肢は、2026年1月時点では存在しない。
万能ではない――だが、それでいい
この書籍が合わない人もいる。
Kubernetesの深い知識を求める人には、ECS中心の本書は物足りないだろう。コンテナの基礎すら知らない完全初心者には、ハードルが高いかもしれない。
Chapter1のコンテナ概要は、約30ページと簡潔だ。Dockerの基本的な使い方は既知であることを前提としている。もしコンテナに全く触れたことがないなら、まず別の入門書でDockerを動かしてから、この本に挑むべきだ。
だが、以下のような人には、この書籍は最良の選択となる。
AWSでコンテナ環境を構築する必要がある人。ECS/Fargateの本番運用を任された人。CI/CDパイプラインを整備したい人。Well-Architectedに準拠した設計を学びたい人。
筆者にとって、この書籍は正解だった。
今、その書籍は机の上で――再び開かれるのを待っている
3週間が経過した今、本番環境のFargateタスクは安定して稼働している。
毎朝、CloudWatchのメトリクスを確認する。CPU使用率、メモリ使用率、ネットワーク転送量――数字が物語るのは、システムの健全性だ。
週に一度、新機能をデプロイする。コードをプッシュすれば、自動的にテストが走り、イメージがビルドされ、新しいタスクが起動する。
この日常が、3週間前には想像できなかった。
書籍は今も机の上にある。付箋が貼られ、メモが書き込まれ、使い込まれた痕跡が残っている。
また開かれるだろう――次の課題が現れたとき、この本が道を示してくれるはずだ。
選択は正しかった――その確信が、今ここにある。
商品情報
AWSコンテナ設計・構築[本格]入門 増補改訂版 / 野村総合研究所 著 / ¥3,850(税込)
※この記事は2026年1月時点の使用体験に基づく記録である。
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