📝 この記事のポイント
- 日曜の午前、カフェのテラス席で『ポケットモンスター クリスタル』を起動した。
- 画面に映るドット絵が、記憶の中のそれよりもずっと鮮明で驚いた。
- 2026年1月の今、私はこの白い筐体を手に、毎週末をレトロゲームと過ごしている。
日曜の午前、カフェのテラス席で『ポケットモンスター クリスタル』を起動した。
画面に映るドット絵が、記憶の中のそれよりもずっと鮮明で驚いた。
2026年1月の今、私はこの白い筐体を手に、毎週末をレトロゲームと過ごしている。
実を言うと2025年10月まで、レトロゲーム互換機にそこまで興味がなかった。
きっかけは友人の一言だった。「FPGA搭載の互換機、マジでヤバいよ」。彼が見せてくれたのが、Analogue Pocketだった。その画面の美しさに、思わず息を呑んだ。
3.5インチのディスプレイは1600×1440ピクセル、615ppiという高精細液晶を搭載していて、初代ゲームボーイの10倍の解像度を誇る。その数字が何を意味するのか、その時は理解していなかった。
でも値段を聞いて躊躇した。
公式サイトでの購入に加えて送料と関税を含めると、総額は3万5千円から4万円ほどになる。正直、そこまで出す価値があるのか疑問だった。
ANBERNICやRetroidのような中華エミュ機なら、2万円から4万円で手に入る。そちらの方が賢い選択に思えた。
でも調べれば調べるほど、Analogue Pocketの特別さが見えてきた。ソフトウェアエミュレーションではなく、FPGAというハードウェアレベルの再現技術を使っている。Analogue PocketにはCyclone V EというFPGAチップが搭載されていて、このチップに再現したいレトロゲーム機のコア情報をインプットすると、チップ上に各プロセッサを電子的に再現してくれる。
つまり、エミュレーターのような処理タイミングのズレがなく、実機に限りなく近い動作が可能だという。
メルカリで中古品を探した。運良く、ほぼ未使用の個体が7万円で出品されていた。傷もなく、付属品も揃っている。
迷った末、Analogue Pocketを購入したのは、2025年10月の終わりだった。
箱を開けた瞬間、その質感に驚いた。
黒を基調としたパッケージ。中身はシンプルで、本体とUSB Type-Cケーブル、ステッカー、簡易マニュアルだけ。iPhoneのようなミニマリズムが徹底されていた。
手に取ると、ずっしりとした重量感。276gという数字は、初代ゲームボーイよりも重い。でも、その重さが逆に安心感を生んでいた。
白い筐体の質感は滑らか。ボタンの押し心地も良好だった。
実家から持ってきた『ポケットモンスター クリスタル』のカートリッジを差し込む。20年以上前のソフトが、今も動くのか。そんな不安は一瞬で消えた。
起動した瞬間、目を見張った。
こんなに綺麗だったのか、と。記憶の中では、もっとぼやけた画面だったはずだ。でもAnalogue Pocketのディスプレイに映し出されたドット絵は、輪郭がくっきりとしていて、色彩も鮮やか。
ディスプレイモードを切り替えることができて、オリジナルのゲームボーイやゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンスの画面特性を再現できる。バックライトの雰囲気や、ピクセルグリッドのパターン、LCDのサブピクセル配列まで、細かく再現されていた。
このこだわりに、制作者の愛を感じた。
最初の週末、実家から持ってきた古いカートリッジを片っ端から試した。
『ゼルダの伝説 ふしぎの木の実』、『カービィのピンボール』、『メトロイド フュージョン』。どれも問題なく動作した。セーブデータも残っていて、15年前の自分の冒険の痕跡が蘇った。
2022年7月に公開されたopenFPGAという開発フレームワークによって、サードパーティの開発者がFPGAコアを作成できるようになった。これによって、ゲームボーイ以外のゲーム機のコアも遊べるようになっている。
試しにいくつかコアをインストールしてみた。セガのマスターシステム、PCエンジン、ネオジオポケット。どれも驚くほどスムーズに動作した。
1ヶ月が経った頃、生活リズムが変わっていた。
金曜の夜、翌日の予定がなければ、深夜までゲームボーイアドバンスのRPGに没頭する。土曜の午後は、カフェにAnalogue Pocketを持ち込んで、コーヒーを飲みながらアクションゲームを楽しむ。
スマホゲームとは違う魅力がある。シンプルで、でも深い。一つのボタンの重みが違う。
使っていくうちに、いくつか気になる点も出てきた。
電源ボタンと音量ボタンが小さくて押しにくいという声があり、初期出荷モデルは電源ボタンが本体とほぼツライチだった。私の中古品も旧型で、手探りだと見つけにくかった。
それから、カートリッジスロットの緩さ。しっかり差し込んでも、少しグラつく感じがある。落とさない限り問題ないけれど、もう少しカチッとはまってほしかった。
でも、それらは些細なことだった。画面の美しさと、ゲームの再現性の高さが、すべてを補って余りある。
Analogue Pocketを選ぶ前、ANBERNICやRetroidといった中華エミュ機も検討した。
ANBERNICのRG351シリーズは約1万円から2万円で、Linux上でエミュレーターを動かすタイプ。Retroid Pocket 5はSnapdragon 865を搭載し、PS2までのエミュレーターが動作する高性能機で、価格は約3万円前後。
どちらも優秀なデバイスだ。特にRetroid Pocket 5は、コストパフォーマンスが非常に高い。
でも、Analogue Pocketには決定的な違いがあった。オリジナルカートリッジをそのまま使える、という点だ。実家に眠っていた思い出の詰まったソフトを、再び遊べる。
中華エミュ機はソフトウェアエミュレーションのため、ROMデータの入手が必要になる。合法的な手段もあるけれど、手間がかかる。その点、Analogue Pocketはカートリッジを差し込むだけ。
この手軽さが、私には大きかった。
Analogue Pocketは2019年10月に発表され、2021年12月13日に出荷が開始されたが、コロナ禍や半導体不足の影響で何度も延期された。2021年12月の予約再開時には、発送グループが3つに分かれ、最後のグループCは2023年まで待つ必要があった。
当時予約した人たちの苦労を考えると、中古で手に入れられたのは幸運だった。
この選択が自分に合っているのは、実家にゲームボーイのソフトが大量にある人だ。思い出のカートリッジを、最高の環境で遊び直したい人。
逆に、幅広いハードのゲームをエミュレーターで遊びたい人には、Retroid Pocket 5の方が向いている。PS2やゲームキューブまで動くなら、選択肢の幅が圧倒的に広い。
予算を抑えたいなら、ANBERNICも悪くない。ただし、設定の手間を惜しまない人向けだ。
日曜の朝、部屋の窓際でAnalogue Pocketを起動する。
今日は『マザー3』を進める予定だ。ゲームボーイアドバンスの名作RPGを、この美しい画面で体験できる幸せ。
2ヶ月前、7万円という金額に躊躇していた自分に教えてあげたい。この選択は、間違っていなかったと。
来週末も、また新しいカートリッジを探しに、秋葉原のレトロゲームショップへ行くつもりだ。
商品情報
Analogue Pocket / FPGA搭載ゲームボーイ互換機・3.5インチ液晶(1600×1440・615ppi)・GB/GBC/GBA対応 / ¥81,759(税込)
※この記事は2026年1月時点の個人的な使用体験に基づいています。
📚 あわせて読みたい


コメント