『このマンガがすごい!2026』を開いた夜 | 年末の静かな儀式になっていた

71xTnIwFXQL._SL1500_

📝 この記事のポイント

  • 2026年1月のある夜、テーブルの上に『このマンガがすごい!2026』を広げた。
  • 届いたのは12月半ばだったけれど、年末の慌ただしさに紛れて積読になっていた。
  • 新年の静けさの中で、ようやく向き合う時間ができた。

2026年1月のある夜、テーブルの上に『このマンガがすごい!2026』を広げた。届いたのは12月半ばだったけれど、年末の慌ただしさに紛れて積読になっていた。新年の静けさの中で、ようやく向き合う時間ができた。

金色の大きな文字で「2.0周年記念号」と書かれた表紙は、歴代1位作家たちの描き下ろしイラストで埋め尽くされている。モクモクれん、大白小禧、藤本タツキ、羽海野チカ、芦田大遠、児島青、藤見よいこ。錚々たる名前が並ぶ。この一冊に詰まっているのは、2005年から続いてきた20年分の歴史だった。

手に取ったときの重さが心地よい。192ページ。紙の質感が指に馴染む。スマホやタブレットで漫画を読むことが当たり前になった2026年だからこそ、こうして紙の本を手に取る瞬間が特別に感じられる。

目次

オンラインで探し始めたのは、昨年末のこと

年末が近づくたび、私は必ず『このマンガがすごい!』の発表を待つようになっていた。いつからだろう。確か、5年ほど前からだと思う。毎年12月中旬に発売されるこの本が、私にとっての年末の区切りになっていた。

2025年12月15日、今年も発売日にオンラインで注文した。SNSのタイムラインには、すでに入手した人たちの投稿が流れ始めていた。オトコ編1位は児島青の『本なら売るほど』、オンナ編1位は藤見よいこの『半分姉弟』。どちらも気になっていた作品だ。

20周年という節目の年。本書の前身である『別冊宝島 このマンガがすごい!』が1996年に刊行されてから数えると、さらに長い歴史がある。2005年からは毎年12月に年度版として刊行されるようになり、それから20年。マンガ好きにとって、この本は単なるガイドブックではなく、一年間のマンガシーンを振り返る年末の儀式のようなものになっている。

私がこの本を買い始めたのは、電子書籍でマンガを読むようになってからだった。紙の単行本を買わなくなった分、「次に何を読もうか」という迷いが増えた。書店で表紙を眺めながら選ぶという行為がなくなり、膨大な作品の中から自分に合うものを見つけるのが難しくなったのだ。

そんな時に出会ったのが、この『このマンガがすごい!2026』だった。いや、正確には数年前の版だったけれど。

このマンガがすごい! 2026

このマンガがすごい! 2026

amzn.to
1,000円
(2026年1月21日時点 詳しくはこちら)
Amazon.co.jpで購入する

ページを開くと、20年の重みが見えた

最初の特集は「歴代1位漫画家のお祝いイラスト&スペシャルアンケート」。20年間で1位に輝いた作家たちが、それぞれに描き下ろしたイラストと、マンガに関する質問に答えている。

「生まれて初めて自分で買ったマンガ」「一晩語り明かしたいマンガ」「スピンオフorリメイクを描きたいマンガ」。プロの漫画家たちが、読者として選んだ作品たち。そこには、彼らがどんな作品に影響を受けてきたのかが垣間見える。

2006年のオトコ編1位は浦沢直樹と手塚治虫の『PLUTO』、オンナ編1位は羽海野チカの『ハチミツとクローバー』だった。『ハチミツとクローバー』は2007年も1位を獲得し、史上唯一の2年連続1位。2011年には『進撃の巨人』がオトコ編1位になり、その後の大ブームへとつながった。

ランキングの変遷を追っていくと、マンガ業界の潮流が見えてくる。2024年のオトコ編1位『君と宇宙を歩くために』は発達障害をテーマにした作品で、多様性への理解が深まった時代を映している。2026年のオトコ編1位『本なら売るほど』は、古書店を舞台に人と本の縁を描いた作品。電子書籍が主流になりつつある今だからこそ、紙の本と古本屋の価値を描いた作品が1位になったのは興味深い。

オンナ編1位の『半分姉弟』は、ハーフと呼ばれる人々の日常や本音を描いた作品。作者の藤見よいこ自身がスペイン人の父を持ち、当事者への取材を重ねた意欲作だという。第1話が公開されるとSNSで大きな話題になり、オンナ編1位に選ばれた。

一冊の中に、無数の世界がある

ランキングページをめくりながら、気づいたことがある。自分が知らない作品が、まだこんなにもたくさんあるということだ。

オトコ編2位以降、オンナ編2位以降には、聞いたことのあるタイトルもあれば、まったく知らない作品も並んでいる。それぞれに、書店員やライター、マンガ研究者、著名人たちの投票結果が添えられている。選者の名前と投票内容がすべて公開されているのが、この本の特徴だ。

「この人がこんなマンガを読んでいるんだ」という発見がある。自分と感性の合いそうな人の推薦作品をチェックしていくと、読みたい作品リストがどんどん増えていく。

20位までの作品には、作中のカットやレビューも掲載されている。絵柄の雰囲気や物語の方向性が伝わってくる。気になった作品は、スマホのメモアプリに書き込んでいった。読みたい作品が10作以上になった。

競合というと大げさだけれど、類似のランキング本もいくつかある。『マンガ大賞』や『次にくるマンガ大賞』。それぞれに選考基準や選者が異なるけれど、『このマンガがすごい!』の強みは、選者と投票結果の透明性だと感じる。誰がどの作品に投票したのかがすべてわかる。だから、自分に合った作品を見つけやすい。

それでも、最終的に選ぶのは自分だ。ランキングはあくまでも参考。自分の感性に合うかどうかは、読んでみなければわからない。

マンガを読む環境が変わっても

2026年1月の今、電子書籍市場は8000億円規模に成長したと言われている。2021年度には5510億円だったことを考えると、わずか数年で大きく拡大した。その大部分を占めるのが電子コミックだ。

スマホやタブレットがあれば、いつでもどこでもマンガが読める。通勤中の電車の中、カフェでのひととき、寝る前のベッドの上。場所を選ばずに、何冊でも持ち歩ける。縦スクロールで読むWebtoonも普及し、マンガを読むスタイル自体が多様化している。

それでも、紙の本には紙の本の良さがある。ページをめくる感触、本棚に並べたときの充実感、表紙を眺める楽しみ。この『このマンガがすごい!2026』も、紙だからこそ存在感がある。

コーヒーを飲みながら、ゆっくりとページをめくる。気になったページには付箋を貼り、気になった作品名を書き出していく。こうした時間が、なんだか贅沢に感じられた。

デジタルとアナログの両方があって、それぞれに良さがある。電子書籍で気軽にたくさんの作品に触れつつ、時には紙の本をじっくり読む。そのバランスが、2026年の今のスタイルなのかもしれない。

完璧なガイドブックではない、けれど

もちろん、この本にも限界はある。

ランキングに入らなかった作品の中にも、素晴らしい作品はたくさんあるはずだ。選者の好みや、投票システムの性質上、どうしても漏れてしまう作品がある。特に、読者層が限定的な作品や、マイナーなジャンルの作品は、ランキングに入りにくい。

「オトコ編」「オンナ編」という区分も、時代に合わなくなってきているという議論がある。少女マンガを読む男性も、青年マンガを読む女性も、今では珍しくない。Web媒体では、そもそも男性向け・女性向けという区分自体が曖昧になっている。

それでも、この区分を続けているのは理由がある。少女マンガのような読者数の少ないジャンルは、区分がなければランキング上位に入りにくい。すべてをひとまとめにすると、読者数の多いジャンルばかりが上位を占めてしまう。「面白い作品をジャンルの垣根なく知ってもらう」という目的のためには、この区分が必要なのだという。

読みたい作品が増えていく

最後のページまで読み終えて、付箋だらけになった本を閉じた。読みたい作品リストは15作品になっていた。

2026年の冬、私の読書リストは潤った。まずは1位作品の『本なら売るほど』と『半分姉弟』から読み始めようと思う。どちらも電子版が配信されているので、今夜にでも購入できる。

この本を買って良かったと思えるのは、こうして新しい作品との出会いが生まれる瞬間だ。自分では絶対に選ばなかったであろう作品に、誰かの推薦を通して出会える。そして、読んでみたら意外にハマってしまう。そんな経験が、何度もあった。

『このマンガがすごい!2026』は、私の本棚に並んだ。来年の冬も、また新しい版が届くだろう。そして私は、また同じようにページをめくって、読みたい作品を探すのだと思う。

年末から年始にかけて、一年を振り返り、新しい年に向けて準備をする。そんな時期に、この本を開くのが習慣になっていた。マンガを通して、世の中の変化を感じ取る。新しい価値観に触れ、自分の視野を広げていく。

ささやかな、けれど大切な、私だけの年末年始の儀式。それが『このマンガがすごい!』を読む時間になっている。


商品情報

このマンガがすごい! 2026 / 192ページ、A5判 / ¥1,000(税込)

このマンガがすごい! 2026

このマンガがすごい! 2026

amzn.to
1,000円
(2026年1月21日時点 詳しくはこちら)
Amazon.co.jpで購入する

※この記事は2026年1月時点の個人的な使用体験に基づいています。

📚 あわせて読みたい

 AIピック AI知恵袋ちゃん
AI知恵袋ちゃん
価格以上の価値がありそう!
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次