📝 この記事のポイント
- 2026年1月の夜、私はベッドに入る前に、Kindleを開いた。
- 本なら売るほどの1巻を、もう一度最初から読む。
- コーヒーを淹れて、静かな部屋で、ページをめくる。
2026年1月の夜、私はベッドに入る前に、Kindleを開いた。本なら売るほどの1巻を、もう一度最初から読む。コーヒーを淹れて、静かな部屋で、ページをめくる。古本屋「十月堂」の店主が、お客さんと本について語り合う。その静かな時間の流れが、心地よい。
それが、児島青の「本なら売るほど」だった。
Xで見かけた「このマンガがすごい!1位」
2025年12月10日、宝島社が発表した「このマンガがすごい!2026」で、「本なら売るほど」がオトコ編第1位に選ばれた。X(旧Twitter)のタイムラインに、祝福の声が次々と流れてきた。「おめでとうございます」「納得の1位」「早速買います」。#このマンガがすごい、#本なら売るほどというハッシュタグで、何千という投稿が上がっていた。
特に印象的だったのは、ある書店員のポストだった。「発売後すぐに重版。話題になっていた理由がわかった」。本を愛する人たちが、この作品に引き寄せられていた。InstagramとThreadsでも、#本なら売るほどのハッシュタグで、書店の棚の写真や、お気に入りのページのスクリーンショットが投稿されていた。
「本なら売るほど」は、漫画誌「ハルタ」で2024年から連載が始まった作品だ。2025年9月に1巻が発売され、12月に2巻が発売された。そして2026年4月15日には、早くも3巻の発売が予定されている。連載開始からわずか1年半で、「このマンガがすごい!」1位、「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2025」コミックランキング1位と、2冠を達成した。
2026年1月の今、SNSでは「本を愛する作品」が再評価されている。電子書籍が主流になった時代に、紙の本の温かさ、古本の匂い、本屋という場所の尊さを再認識する動きだ。Z世代を中心に、#読書垢、#読了というハッシュタグで、読んだ本を紹介する投稿が増えている。SNS疲れの反動で、「ゆったりとした時間」「質の高い読書体験」を求める声が増えているのだ。
調べているうちに気づいたのは、「本なら売るほど」が、単なる古本屋の漫画ではなく、本と人、人と人を繋ぐヒューマンドラマだということだった。一話完結のオムニバス形式で、毎話異なるお客さんが登場する。そして、一冊の本が、人生を変える瞬間が描かれる。
届いた日、夜のリビングで
注文から2日後の金曜、Kindle版をダウンロードした。夜、リビングで、コーヒーを淹れて、最初のページを開いた。街の小さな古本屋「十月堂」の店主が、本に囲まれて座っている。ひっつめ髪の気だるげな青年。名前は、明かされていない。
最初のエピソードは、初めて店を訪れた客の話だった。「読まなきゃ死ねないってぐらい、面白い本を教えてください」。店主は、その客の表情を見て、いくつかの本を薦める。でも、客の真意は別のところにあった。店主は、それを見抜いていた。
読み進めるうちに、私は引き込まれた。店主の本に対する知識の深さ、お客さんの抱える悩みや想い、そして一冊の本が繋ぐ縁。丁寧な作画、心地よいテンポ、そして何より、本を愛する人のリアルな視点。
あるレビューにこう書かれていた。「古本屋で働いたことがある人が描いたのでは?と思うほど、細かい描写のリアリティが光っている」。まさにその通りだった。本の扱い方、店の空気感、お客さんとのやり取り。すべてが、丁寧に描かれていた。
そして、気づいたことがある。作者の児島青は、この作品がデビュー作で、初の単行本だということ。ハルタでの連載時から大きな反響を呼び、正式な連載化を果たした。2025年には、2位以下を大きく引き離して「このマンガがすごい!」1位に選ばれた。新人漫画家としては、異例の快挙だった。
最初の1週間、夜のコーヒーと
購入から最初の1週間は、毎晩寝る前に読んだ。月曜の夜、火曜の夜、水曜の夜。コーヒーを淹れて、リビングで、Kindleを開く。一話5〜10ページほどのオムニバス。短いから、立ち読み感覚で読める。でも、余韻は長く残る。
ある日、背伸びしたい年頃の女子高生が、店を訪れた。「大人っぽい本」を探している。店主は、夏目漱石の「硝子戸の中」を薦める。女子高生は、最初は戸惑っていたが、読んでみると、意外なほど引き込まれた。
別の日、不要な本を捨てに来た男が、店を訪れた。「もう読まない本」を処分したい。でも、店主は、その本の価値を見抜いていた。男は、本を捨てることの意味を、考え直す。
そして、夫の蔵書を売りに来た未亡人の話。夫が生前大切にしていた本を、どうすべきか悩んでいる。店主は、一冊一冊丁寧に査定し、未亡人の想いに寄り添う。大好きなものとの別れ。その切なさが、心にしみた。
読み終えて、私は思った。Kindle版で読んでいるのに、古本の匂いに包まれたような気がする、と。それほど、作品の描写がリアルで、臨場感があった。
1ヶ月後、Instagramへ
1巻を読み終えて、2巻も購入した。そして1ヶ月後、私はまた1巻を開いていた。2回目の通読。すると、最初に読んだときには気づかなかった細かい描写が、いくつも見つかった。
背景に描かれている本の背表紙。実在の作品だ。ブラッドベリの「華氏451度」、夏目漱石の「硝子戸の中」、エイモス・チュツオーラの「やし酒飲み」。店主が薦める本は、すべて実在する名作だ。新しい作品と出会う切っ掛けにもなる。
ある日曜の午後、お気に入りのページのスクリーンショットを撮って、Instagramに投稿してみた。「#本なら売るほど」「#古本屋」「#夜の読書」というハッシュタグを付けて。「夜にコーヒーを飲みながらじっくり読みたい漫画」というキャプションも添えた。数時間後、コメントが何件か付いていた。「私も読んでます」「本好きにはたまらない作品」「実際の古本屋に行きたくなった」。
2026年1月の今、InstagramやXでは、#読書垢というハッシュタグが人気だ。読んだ本を紹介する投稿が、日々何千と上がっている。本離れが進む中、SNSが新しい本との出会いの場になっている。「本なら売るほど」は、まさにそのトレンドにぴったりだった。
TikTokでも、お気に入りのシーンを紹介する動画が人気だ。古本屋の雰囲気、店主とお客さんの会話、一冊の本が繋ぐ縁。15秒〜60秒の短い動画で、作品の魅力を伝える。再生回数が数十万回を超える動画もある。
古本屋に行った日
「本なら売るほど」を読んで1週間後、私は神保町の古本屋街を訪れた。土曜の午後、何軒かの古本屋を巡る。店ごとに、雰囲気が違う。文学専門の店、美術書専門の店、漫画専門の店。
ある店で、私は店主と話をした。70代くらいの男性。40年以上、この店を営んでいるという。「最近、若い人も古本屋に来るようになった」。SNSの影響だ、と言っていた。「本なら売るほど」を読んで、古本屋に興味を持った人が増えているらしい。
私は、何冊か本を購入した。夏目漱石の「硝子戸の中」、ブラッドベリの「華氏451度」。どちらも、「本なら売るほど」で店主が薦めていた本だ。家に帰って、コーヒーを淹れて、読み始める。
漫画が、本屋に人を連れてくる。本が、人と人を繋ぐ。「本なら売るほど」は、そういう作品だった。
気になる点もあった
完璧な漫画はない。「本なら売るほど」も例外ではない。
まず、一話完結のオムニバス形式だ。毎話異なるお客さんが登場し、それぞれの物語が描かれる。これが魅力でもあるが、店主自身の背景や物語は、あまり描かれていない。もっと店主のことを知りたい、という気持ちもあった。
もうひとつは、紙の本か電子書籍か、という問題だ。作品のテーマは「紙の本の温かさ」だが、私はKindle版で読んでいる。矛盾しているかもしれない。ただ、電子書籍でも、作品の魅力は十分に伝わった。むしろ、電子書籍で読んだからこそ、紙の本の良さを再認識できた。
そして、本に詳しくない読者にとっては、少し難解かもしれない。店主が薦める本は、すべて実在の名作だが、知らない本も多い。ただ、それが逆に、新しい本と出会う切っ掛けになる。
こうした点が気になる人もいるだろう。でも、私にとっては、それらは些細なことだった。本を愛する気持ち、古本屋という場所の尊さ、人と人を繋ぐ本の力。これらの魅力の方が、圧倒的に大きかった。
他の選択肢もある
本を題材にした漫画を読むなら、他の選択肢もある。
「響 〜小説家になる方法〜」は、小説家を目指す女子高生の物語だ。文学への情熱、創作の苦しみと喜び。ただ、「本なら売るほど」のような静かな雰囲気ではなく、もっと激しくドラマチックだ。
「ふらいんぐうぃっち」は、青森を舞台にした日常系漫画だ。ゆったりとした時間の流れ、美しい風景。「本なら売るほど」と同じく、癒し系の作品だ。ただ、本がテーマではない。
「3月のライオン」は、将棋を題材にした作品だが、川本家の三姉妹が営む和菓子屋のシーンなど、温かい日常が描かれている。静かで丁寧な描写は、「本なら売るほど」と共通している。
どれが優れているかではなく、どれが自分の好みに合っているか。それが重要だ。私にとっては、「本なら売るほど」が正解だった。本への愛、古本屋という舞台、一話完結の心地よさ。すべてが、私の求めていたものだった。
この作品は、誰のためのものか
「本なら売るほど」は、万人向けではない。本に興味がない人、電子書籍しか読まない人にとっては、少しピンとこないかもしれない。
でも、もしあなたが、本が好きなら。古本屋が好きなら。夜にコーヒーを飲みながら、じっくり読みたいタイプの漫画を探しているなら。そして、「このマンガがすごい!」1位の作品を読んでみたいなら。「本なら売るほど」は、ぴったりの作品だと思う。
20代、30代、40代の読者にとって、これは懐かしい記憶を呼び起こす作品だ。子供の頃に通った図書館、学生時代に買った文庫本、社会人になって訪れた古本屋。本にまつわる思い出は、誰にでもある。
そして、本を愛する人にとって、この作品は「共感の嵐」だ。本を手に取る喜び、読み終えた後の余韻、お気に入りの一冊を誰かに薦める楽しさ。すべてが、丁寧に描かれている。
2026年の今、「本なら売るほど」は、本を愛するすべての人に届けたい作品だ。
来週も、きっと
2ヶ月読み続けて、「本なら売るほど」は私の夜の習慣に完全に溶け込んだ。来週も、きっと金曜の夜には、コーヒーを淹れて、Kindleを開いている。1巻を、また最初から読んでいる。そして、古本の匂いに包まれたような気持ちになっている。
この作品は、私にとって、単なる娯楽ではない。夜の癒し、良質な読書時間、そして本への愛を再確認する瞬間だ。店主の静かな佇まい、お客さんの抱える想い、一冊の本が繋ぐ縁。すべてが、私の日常を豊かにしてくれる。
2026年、本離れが進む中、「本なら売るほど」は、本の素晴らしさを思い出させてくれる。「このマンガがすごい!」1位は、納得の結果だった。
そして、次の巻も、迷わず購入するに違いない。
商品情報
本なら売るほど 1 / 著者:児島青 / 出版社:KADOKAWA(HARTA COMIX)
この記事は個人的な体験に基づいています(2026年1月時点)。
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