タイムラインの向こう側について

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📝 この記事のポイント

  • 隣の席では、若いカップルがスマートフォンを覗き込みながら、楽しそうに話している。
  • 僕は、目の前のカフェラテを一口飲み、MacBookを開いた。
  • 今日は、締め切り間近の企画書を仕上げなければならない。

2026年1月19日、都内のカフェ。いつものように、窓際の席を確保した。外は冬晴れで、日差しが暖かく差し込む。隣の席では、若いカップルがスマートフォンを覗き込みながら、楽しそうに話している。僕は、目の前のカフェラテを一口飲み、MacBookを開いた。今日は、締め切り間近の企画書を仕上げなければならない。

(カチャカチャ…)

キーボードを叩く音だけが響く。企画書の構成は頭の中でほぼ出来上がっているのだが、どうも文章がしっくりこない。何か、決定的に足りない気がするのだ。

ふと、SNSを開いてみた。タイムラインには、友人たちの楽しそうな写真が並んでいる。結婚式の写真、旅行の写真、子供の写真…。どれもキラキラしていて、眩しいくらいだ。

(いいね、いいね…)

僕は、無意識のうちに「いいね」ボタンを押していた。他人の幸せを祝福する気持ちは、もちろん本物だ。しかし、心の奥底で、ほんの少しだけ、焦りを感じているのも事実だった。

特に、子供の写真を見ると、複雑な気持ちになる。可愛い子供たちの笑顔を見ていると、心が温かくなる。しかし同時に、「自分には、この幸せは手に入らないのだろうか」という不安が押し寄せてくる。

僕は、子供が好きだ。甥っ子や姪っ子と遊ぶ時間は、本当に楽しい。しかし、自分の子供を持つことについては、どうしても躊躇してしまう。

(本当に、欲しいんだろうか…?)

この疑問が、いつも頭から離れない。子供を持つことは、素晴らしいことだと思う。しかし、同時に、大きな責任も伴う。自分の時間や自由は、大きく制限されるだろう。経済的な負担も、決して小さくない。

それに、今の社会は、子供を育てるのに、あまりにも厳しい。保育園の問題、教育の問題、いじめの問題…挙げればきりがない。こんな社会で、子供を幸せに育てられる自信が、僕にはないのだ。

過去に、恋人と子供の話になったことがある。彼女は、子供が欲しいと言っていた。僕は、正直に自分の気持ちを伝えた。彼女は、少し残念そうだったが、僕の気持ちを理解してくれた。結局、僕たちは別れてしまった。別れの理由は、子供のことだけではない。しかし、子供のことが、二人の関係に影を落としたのは事実だ。

カフェラテを飲み干し、僕は再び企画書に取り掛かった。しかし、どうしても集中できない。タイムラインに流れてくる子供たちの写真が、脳裏に焼き付いている。

(一体、何が正解なんだ…?)

僕は、自分自身に問いかけた。子供を持つこと、持たないこと。どちらが正解なのか、誰にもわからない。結局、自分で決めるしかないのだ。

その夜、僕は久しぶりに実家に帰った。両親は、いつものように温かく迎えてくれた。食卓には、僕の好物が並んでいた。

「元気にしてるか?」

父が、優しく声をかけてきた。僕は、近況を報告した。企画書の進捗状況、最近読んだ本のこと、週末に予定している旅行のこと…。

「結婚は、まだか?」

父は、少し照れ臭そうに聞いてきた。僕は、苦笑いしながら答えた。

「まあ、そのうちね…」

父は、何も言わなかった。しかし、僕の心中を察しているようだった。

夕食後、僕は父と二人で、庭に出た。星が綺麗だった。父は、タバコを吸い始めた。僕は、隣に立って、星空を見上げた。

「お前は、どうしたいんだ?」

父は、静かに聞いてきた。僕は、少し戸惑いながら答えた。

「わからないんだ…」

父は、タバコの煙を吐き出しながら言った。

「お前は、真面目すぎるんだ。もっと、自分の気持ちに正直に生きればいい」

僕は、父の言葉にハッとした。確かに、僕は、周りの目を気にしすぎているのかもしれない。世間の常識や、社会の価値観に縛られすぎているのかもしれない。

「自分の気持ちに正直に…か」

僕は、呟いた。

翌日、僕は、再びカフェに行った。いつもの窓際の席に座り、カフェラテを注文した。MacBookを開き、企画書に取り掛かった。しかし、今日は、昨日とは違っていた。心なしか、文章がスムーズに出てくる気がした。

(そうだ、自分の気持ちに正直に生きよう)

僕は、そう思った。子供を持つかどうかは、まだわからない。しかし、少なくとも、今の僕は、子供を持つことを望んでいない。それは、紛れもない、僕自身の気持ちなのだ。

企画書を書き終え、僕は、カフェを後にした。空は、昨日よりも青く、太陽は、昨日よりも明るく輝いていた。

帰り道、僕は、公園に立ち寄った。たくさんの子供たちが、楽しそうに遊んでいた。僕は、ベンチに座って、子供たちの様子を眺めた。

(可愛いな…)

僕は、心の中で呟いた。いつか、僕も、こんな風に、自分の子供と遊ぶ日が来るのだろうか。それは、まだわからない。しかし、もし、そんな日が来たとしても、それは、誰かに強制されたものではなく、僕自身の意志で決めたことなのだろう。

公園を後にし、僕は、駅に向かった。電車に乗り、窓の外を眺めた。街の風景が、ゆっくりと流れていく。

ふと、SNSを開いてみた。タイムラインには、いつものように、友人たちの楽しそうな写真が並んでいる。僕は、それらを眺めながら、微笑んだ。

(みんな、幸せそうでよかった)

僕は、心からそう思った。そして、自分自身にも、幸せになってほしいと願った。

2026年1月19日。この日は、僕にとって、特別な一日になった。この日を境に、僕は、少しだけ、変わることができた。自分の気持ちに正直に生きることを決意したのだ。

タイムラインの向こう側には、確かに幸せがある。しかし、それは、あくまでも他人の幸せだ。僕自身の幸せは、タイムラインの中にはない。それは、僕自身の心の中にあるのだ。

そして、僕自身の幸せを探す旅は、まだ始まったばかりだ。

(了)


※このエッセイは、Togetterのまとめから着想を得て創作されたフィクションです。

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