味付け海苔とSNSの距離について

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📝 この記事のポイント

  • 都心を走る通勤電車の窓は、外の冷たい空気を遮断しながら、乗客たちの吐息で薄っすらと曇っていた。
  • 僕はリュックから取り出した文庫本を開き、活字の海に潜ろうとする。
  • けれど、どうしても視線はスマホの画面に吸い寄せられてしまう。

2026年1月14日。都心を走る通勤電車の窓は、外の冷たい空気を遮断しながら、乗客たちの吐息で薄っすらと曇っていた。僕はリュックから取り出した文庫本を開き、活字の海に潜ろうとする。けれど、どうしても視線はスマホの画面に吸い寄せられてしまう。

(承)

向かいの席に座る女性は、熱心にスマホを操作している。ネイルがキラキラと光る指先は、高速で画面をスクロールし、何かを探しているようだ。ふと、彼女が画面に表示された動画を見て、小さく笑みをこぼした。それは、味付け海苔で小さなおにぎりを作る、という内容の短い動画だった。

ああ、あれか。僕も先日、SNSのタイムラインで何度も目にした。炊きたてのご飯を、パリパリの味付け海苔で包み込む。手軽で、ちょっとした幸せを感じられる、そんな日常の風景を切り取った動画は、多くの人々の心に響いたらしい。コメント欄には、「わかる!」「めっちゃ美味しいよね!」「私もよくやる!」といった共感の声が溢れていた。

僕は、その動画を見て、懐かしい気持ちになった。小学生の頃、母がよく作ってくれたお弁当の中に、必ずと言っていいほど、味付け海苔のおにぎりが入っていた。甘辛い海苔の風味と、温かいご飯の組み合わせは、僕にとって、安心できる味だった。

しかし、同時に、僕は少し違和感を覚えていた。なぜ、こんなにもシンプルなものが、SNSで拡散され、多くの人々の共感を呼ぶのだろうか? 味付け海苔のおにぎりは、特別な料理ではない。誰でも簡単に作れるし、特別に美味しいというわけでもない。

僕は、電車の揺れに合わせて、思考を巡らせる。SNSという空間は、まるで巨大な共感の渦巻のようだ。人々は、些細な出来事や感情を共有し、共感し合うことで、孤独を紛らわせ、安心感を得ようとしているのかもしれない。

カフェに移動し、僕はノートパソコンを開いた。今日の午後は、新しいプロジェクトの企画会議がある。しかし、なかなか集中できない。頭の中では、味付け海苔のおにぎりと、SNSのことがぐるぐると渦巻いている。

隣の席に座る若い女性は、イヤホンを装着し、パソコンに向かって作業している。彼女の画面には、無数のウィンドウが開かれており、複雑な数式やグラフが表示されている。きっと、難しい研究をしているのだろう。

ふと、彼女が休憩のためか、イヤホンを外し、スマホを取り出した。そして、僕と同じように、SNSのタイムラインをスクロールし始めた。彼女の口元が、小さく緩んだ。画面には、やはり、味付け海苔のおにぎりの動画が表示されていた。

(転)

僕は、その光景を見て、ハッとした。SNSは、確かに共感の渦巻かもしれない。しかし、それは、必ずしも孤独を紛らわせるためのものではないのかもしれない。むしろ、人々は、SNSを通じて、自分自身を表現し、他者と繋がりたい、という強い欲求を持っているのではないだろうか。

味付け海苔のおにぎりは、その手軽さゆえに、多くの人々が共感しやすい。それは、特別なスキルや知識を必要とせず、誰でも簡単に参加できる、コミュニティのようなものなのかもしれない。人々は、味付け海苔のおにぎりを通じて、自分自身を表現し、他者と繋がり、共感し合うことで、安心感を得ようとしているのかもしれない。

オフィスに戻り、企画会議に参加した。新しいプロジェクトは、SNSを活用したマーケティング戦略を立案するというものだった。僕は、味付け海苔のおにぎりのことを思い出しながら、企画書を作成した。

SNSは、単なる情報の発信ツールではない。それは、人々の感情や思考を共有し、共感し合うための、重要なコミュニケーションツールだ。マーケティング戦略を成功させるためには、人々の心に響く、共感を呼ぶコンテンツを作成する必要がある。

僕は、味付け海苔のおにぎりのように、シンプルで、手軽で、多くの人々が共感しやすいコンテンツを企画することを提案した。会議室は、一瞬静まり返った。しかし、やがて、メンバーたちは、僕の提案に賛同してくれた。

(結)

2026年1月14日の夜。僕は、スーパーで味付け海苔を買い、自宅で小さなおにぎりを作った。炊きたてのご飯を、パリパリの味付け海苔で包み込む。甘辛い海苔の風味と、温かいご飯の組み合わせは、やはり、僕にとって、安心できる味だった。

僕は、おにぎりを食べながら、スマホを取り出し、SNSに写真を投稿した。「今日の夕食は、味付け海苔のおにぎり。子供の頃から変わらない、大好きな味です。」

投稿すると、すぐに、コメントが届き始めた。「私も好き!」「懐かしい!」「美味しそう!」

僕は、コメントを読みながら、微笑んだ。SNSは、確かに、共感の渦巻かもしれない。しかし、それは、必ずしも孤独を紛らわせるためのものではないのかもしれない。むしろ、人々は、SNSを通じて、自分自身を表現し、他者と繋がりたい、という強い欲求を持っているのではないだろうか。

味付け海苔のおにぎりは、その手軽さゆえに、多くの人々が共感しやすい。それは、特別なスキルや知識を必要とせず、誰でも簡単に参加できる、コミュニティのようなものなのかもしれない。

僕は、窓の外に広がる夜景を見ながら、おにぎりを食べ終えた。そして、静かに、スマホを置いた。

SNSと距離を置くこと。それは、現代社会を生きる僕たちにとって、時に必要なことかもしれない。しかし、完全に遮断するのではなく、適切な距離感を保ちながら、SNSと付き合っていくこと。それが、僕たちにとって、より良い生き方なのかもしれない。

明日も、きっと、SNSのタイムラインには、様々な情報が溢れているだろう。しかし、僕は、その中で、自分自身を見失うことなく、自分のペースで、生きていきたい。

味付け海苔のおにぎりの、ささやかな温かさを胸に抱きながら。


※このエッセイは、Togetterのまとめから着想を得て創作されたフィクションです。

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