📝 この記事のポイント
- 僕は、三十歳になるまで本物のハニワを間近で見たことがなかった。
- 正確に言えば、歴史の教科書に載っている写真は何度も眺めていたけれど、実際にその素焼きの土器と対峙した経験はなかったんだ。
- だから、先日ふらりと立ち寄った博物館の薄暗い展示室で、初めてガラスケースの中のハニワと向き合った時、僕はちょっとした衝撃を受けた。
僕は、三十歳になるまで本物のハニワを間近で見たことがなかった。正確に言えば、歴史の教科書に載っている写真は何度も眺めていたけれど、実際にその素焼きの土器と対峙した経験はなかったんだ。だから、先日ふらりと立ち寄った博物館の薄暗い展示室で、初めてガラスケースの中のハニワと向き合った時、僕はちょっとした衝撃を受けた。それは高さ50センチほどの人物埴輪で、目が、口が、すべてが「穴」だった。なぜ穴なのか。古墳時代の人々は、なぜ顔に穴を開けることを選んだのか。そんな素朴な疑問が、僕の中で静かに、でも確かに、渦を巻き始めたんだ。この奇妙な土器との出会いは、僕の日常に、思いがけない「問い」を投げかけることになった。
最初の印象
博物館の展示室は、ひんやりとした空気に満ちていた。その中で、スポットライトを浴びる人物埴輪は、教科書で見ていた時とは全く違う存在感を放っていたよ。写真では単なる記号に過ぎなかった目と口の穴は、実物を目の前にすると、まるで深い空洞のようで、そこから覗かれているような錯覚に陥った。50センチというサイズ感も、思った以上に大きく、素朴な赤茶色の肌も、歴史の重みを肌で感じさせる。笑っているようにも、泣いているようにも、あるいは怒っているようにも見えるその顔は、ただの土器とは思えない不思議な引力を持っていた。僕は、その穴の奥に、何か途方もないメッセージが隠されているような気がして、しばらくその場を動けなかったんだ。
実際にハニワに向き合ってみて
僕がその日見たハニワは、人物だけじゃなかった。馬や鳥、家など、実に27体ものハニワが並んでいたんだ。どれも同じ素焼きの赤茶色で、それぞれが独自の奇妙な存在感を放っていた。特に人物埴輪の表情は、何度見ても飽きることがなかった。そのたびに僕の心に浮かぶ感情が違ったからだ。ガイドの女性は「ハニワは死者を守るために作られたと考えられています」と説明してくれたけれど、僕にはどうもピンとこなかったんだ。もちろん、それが学術的な見解なんだろう。でも、ガラスケースの中で静かに佇む彼らを見ていると、まるで1500年間、土の中で、暗闇の中で、じっと何かを待ち続けているように見えたんだ。そして、掘り起こされ、博物館に連れてこられた今も、まだ何かを待ち続けている。その「何か」が何なのか、僕には分からないけれど、彼らがただの守り神ではない、もっと深い意味を持つ存在だと感じずにはいられなかった。
良かったところ
- 想像力を掻き立てられる:
ハニワの顔に開けられた穴は、見る人の想像力をこれでもかと刺激してくる。彼らが何を思い、何を訴えているのか、正解がないからこそ、僕の中で様々な物語が生まれ、思考が深まる時間になったんだ。
- 歴史との個人的な対話が生まれる:
教科書で学ぶ歴史は事実の羅列になりがちだけど、ハニワのような実物と向き合うことで、1500年前の人々が何を考え、何を表現しようとしたのか、個人的なレベルで問いかけることができる。それはとても貴重な体験だったよ。
- 日常への新たな視点:
博物館を出て日常に戻ってからも、ふとした瞬間にハニワの顔やあの穴が頭をよぎるんだ。それは現代社会の僕らの生き方や、僕らが抱える「狂気」のようなものについて、ハニワが何も語らず見つめている、そんなイメージを僕に与えてくれた。
気になったところ
- 謎が深まるばかり:
ガイドの説明を聞いても、結局のところハニワの「穴」の本当の意味は解明できない。知れば知るほど、なぜ彼らがこのような造形を選んだのか、その謎が深まるばかりで、ある種の消化不良感を覚えることもあるんだ。
- 現代の感覚とのギャップ:
ハニワが作られた時代の人々の価値観や死生観は、現代の僕たちとはあまりにもかけ離れている。そのギャップを完全に埋めることはできず、どうしても現代のフィルターを通して見てしまうため、彼らの真意に届かないもどかしさを感じることもあったね。
どんな人に向いてる?
- 歴史の「なぜ?」を自分なりに深く掘り下げたい人。
- 静かに思索にふける時間や、想像力を働かせることが好きな人。
- 定義された正解だけでなく、自分なりの「答え」を探すことに面白みを感じる人。
- 日常の喧騒から離れて、非日常的な存在と向き合い、心を落ち着かせたい人。
鑑賞から数週間の今
博物館でハニワと出会ってから数週間が経ったけれど、あの時の衝撃と、僕の心に生まれた問いは、今も消えることなく続いているよ。あの穴は、僕たち現代人を見ている。僕たちの時代を、僕たちの生き方を、そしてもしかしたら僕たちの狂気さえも。そして、何も語らない。その沈黙が、最も雄弁なメッセージなのかもしれない。ハニワの謎は、きっとこれからも僕の中で生き続けるだろう。
ハニワは単なる土器じゃない。1500年もの時を超えて、今もなお僕たち現代人に、何かを問いかけ続けている存在なんだ。その謎は解けないかもしれないけれど、この体験は僕の日常に、古の時代と、そして自分自身と向き合う、新たな視点を与えてくれたんだ。
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ハニワの謎
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