📝 この記事のポイント
- 土曜日の午後、僕はいつものカフェで熱いカフェラテをすすっていた。
- 窓の外では小雪が舞っていて、渋谷のスクランブル交差点を行き交う人々は皆、首をすくめて足早に歩いている。
- カフェの中は暖房が効きすぎて少し暑いくらいだった。
2025年12月13日。土曜日の午後、僕はいつものカフェで熱いカフェラテをすすっていた。窓の外では小雪が舞っていて、渋谷のスクランブル交差点を行き交う人々は皆、首をすくめて足早に歩いている。カフェの中は暖房が効きすぎて少し暑いくらいだった。目の前のMacBookを開き、締切が迫る企画書のラフを書こうとしているのに、どうにも集中できない。隣の席の若い女性二人の会話が、否応なしに耳に入ってくる。
「ねえ、最近マジでジェネレーションギャップ感じることない?」
「あるある!マジ毎日レベル。職場での若手扱い、そろそろ勘弁って感じだよね」
「わかるー!昨日さ、上司が『この案件、エビデンスしっかり取って進めてくれ』って言ってきたんだけど、エビデンスって何?みたいな。マジでググったよね」
「え、エビデンス知らないの?ヤバくない?」
彼女たちの会話は、僕の頭の中に直接響いてくるようだった。エビデンスという言葉を知らなかったわけじゃない。でも、その言葉が持つニュアンス、時代とのずれ、そして何よりも、言葉が持つ曖昧な輪郭に、僕は妙に引っかかりを感じていた。まるで、デジタルな情報が溢れる現代で、僕たちの感情や記憶も、いつの間にか曖昧なものとして流れ去っているんじゃないかって。そんなことを考えていたら、ふと数週間前に手に入れた、あるガジェットのことを思い出したんだ。
最初の印象
僕がそのガジェット「警ら箱」を手にしたのは、たまたま立ち寄ったレトロ雑貨店だった。ショーケースの隅に、古びた木製の箱が置いてあって、一瞬目を疑ったね。「警ら箱」って手書きで書いてあるんだ。まさか、あの公園で見かけた古い箱がガジェットになっているとは。店員さんに聞くと、どうやら日常の何気ない気づきや、言葉にならない感情を記録するための「デジタル・アナログハイブリッド記録ガジェット」らしい。
手のひらに乗るくらいのサイズで、重みもあって、ひんやりとした木の手触りが心地良い。表面には小さなモノクロディスプレイと、シンプルなボタンがいくつか配置されているだけ。最新のガジェットのようなピカピカした洗練さはなくて、どこか懐かしい、温かみのあるデザインだ。でも、その素朴さが逆に「これ、なんか面白そう」って僕の好奇心を刺激したんだよね。直感的に、「曖昧なものを拾い上げてくれるかも」って感じたんだ。
実際に使ってみて
「警ら箱」の使い方は、正直最初ちょっと戸惑った。最新のスマホやタブレットみたいに、直感的なUIが用意されているわけじゃないからね。でも、それがかえって良かったのかもしれない。この箱は、僕の意識を「記録すること」そのものに向けさせてくれるんだ。
主な機能は、3つ。
一つ目は、内蔵マイクで環境音を記録する機能。設定した時間や、特定の音量を超えたときに自動で録音してくれるんだけど、これが意外と面白い。
二つ目は、シンプルなスケッチや手書きメモをデジタル化して保存する機能。付属のペンで箱の表面に書くと、それがディスプレイに表示されて保存されるんだ。
三つ目は、短い音声メモ。感じたことや、ふと思い浮かんだ言葉を吹き込むだけ。
僕は散歩中に見つけた美しい風景や、カフェでの何気ない会話、そして自分の頭の中をぐるぐる巡る思考なんかを、この「警ら箱」に記録してみた。すると、いつもは素通りしてしまうような日常のディテールに、自然と目がいくようになったんだ。
良かったところ
- 日常の「曖昧な輪郭」を可視化してくれる
いつもは「なんか良いな」で終わっていた感情や、言葉にするには少し複雑な思考が、音やスケッチ、短い言葉として箱の中に残っていく。後から見返すと、「ああ、あの時の自分はこんなことを感じていたんだ」って、ぼんやりしていたものがクリアになる感覚が新鮮だったよ。
- デジタルデトックスになる
スマホと違って、通知が来るわけでも、誰かに反応を求められるわけでもない。ただ、自分のためだけに記録する時間だから、すごく落ち着くんだ。デジタルに疲れた時に、この「警ら箱」を手にすると、心がふっと軽くなる。
- 小さな気づきを教えてくれる
自動で記録された環境音や、過去の記録をランダムに表示する「振り返り機能」が秀逸なんだ。例えば、数週間前の公園の鳥のさえずりを聞いて、その時自分が何を考えていたか思い出す。すると、普段どれだけ周りの情報を見過ごしているかに気づかされるんだよ。
気になったところ
- 操作に慣れるまで時間がかかる
良くも悪くもアナログ感満載だから、初めて使う人にとっては少しとっつきにくいかもしれない。説明書をしっかり読むか、直感的に触ってみるか、人によってアプローチが分かれると思う。
- 共有機能がほとんどない
記録したデータは基本的に自分だけのもの。SNSでシェアしたり、誰かに送ったりといった機能はほとんどないんだ。これは、良くも悪くも「自分と向き合う」ことに特化している証拠なんだけど、たまには誰かに見せたくなるような記録もあるから、ちょっと残念に感じる時もあるかな。
どんな人に向いてる?
この「警ら箱」は、こんな人にぴったりだと思うよ。
- 毎日がルーティンだと感じている人
- 自分の感情や思考をもっと深く理解したい人
- デジタル漬けの生活にうんざりしている人
- 日常の中に隠れた小さな幸せを見つけたい人
- 昔ながらの「記録すること」に価値を見出す人
忙しい日常の中で、ちょっと立ち止まって、自分と向き合う時間を持ちたい人には、きっと新しい発見があるはずだ。
使い続けて数週間の今
「警ら箱」を使い続けて数週間。僕は以前よりも、日々の出来事や自分の内面に意識を向けるようになったと思う。カフェで隣の席の会話に引っかかりを感じた時も、以前ならそのまま流してしまっていたかもしれないけど、今は「なぜ引っかかったんだろう?」って、その曖昧な感情を「警ら箱」にメモするようになった。
そして、その記録を後から見返すと、僕が求めていたのは、情報そのものじゃなくて、情報が持つ「曖昧さ」や「複雑さ」を理解することだったんだって気づく。SNSで当たり障りのないことしか書けなかった僕が、少しだけ自分の感情をストレートに表現できるようになってきた気がするよ。
夜、ベランダに出て空を見上げると、冬の澄み切った夜空に、たくさんの星が輝いている。星は、いつもそこにある。どんな時代でも、どんな場所でも、変わらずに輝いている。僕たちは、星のように、曖昧な輪郭を持つ言葉や感情を大切にし、立ち止まり、考えることを忘れてはならない。僕の「警ら箱」は、その大切なことを思い出させてくれる、小さな相棒なんだ。
2025年も、もうすぐ終わる。来年は、この「警ら箱」と一緒に、もっと自分の心に正直に、言葉や感情の曖昧さを慈しんでいこうと思う。
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